Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ダニエル・ヴァイマン
 ラトヴィアのリガは、多くのすばらしいアーティストを世に送り出している。ここにまたひとり、若きピアニストの名が浮上した。
 ピアニストのディーナ・ヨッフェを母に、ヴァイオリニストのミヒャエル・ヴァイマンを父にもつダニエル・ヴァイマンである。
 1978年リガに生まれた彼は、幼いころから母親に就いてピアノを学んだが、やがて一家はモスクワに移住。ヴァイマンはその後イスラエルでも学び、1994年にはイギリスに渡り、英国王立音楽院に入学した。続いてチューリヒ芸術大学でも研鑽を積み、各地の国際コンクールに参加、さまざまな入賞歴を誇る。
 先日、来日公演の折にインタビューを行ったが、音楽の話題とともにイギリス留学時代にスランプに陥って一時はピアノをやめようと考えた話など、忌憚のない意見をいろいろ聞かせてくれた。
 新譜はプレトニョフ編によるチャイコフスキーの「くるみ割り人形」をメインに据え、ラフマニノフのピアノ・ソナタ第2番とプロコフィエフのピアノ・ソナタ第6番「戦争ソナタ」を組み合わせたアルバム(Pro Arte Musicae)。いま、もっとも得意としている作品を収録したものである。
「《くるみ割り人形》は5歳のときにバレエの舞台を見て、ものすごく感動したのを覚えている。チャイコフスキーの音楽のすばらしさは子どもでもよくわかった。いま、それを自分で弾くことができ、とても幸せな気分。ぼくはプレトニョフ編の楽譜で弾いているけど、これはチャイコフスキー編のものよりも技巧的に難しく、ヴィルトゥオーソ的。でも、ぼくはチャイコフスキーのオーケストレーションにほれ込んでいるので、そちらも参考にしている」
 チャイコフスキーの偉大さ、音楽の見事さを語り出したらきりがないといった感じだ。
 音楽的な環境に恵まれて育った彼だが、3歳半でピアノを始めたころは練習がいやでたまらなかったという。
「最初は父がヴァイオリンを習わせようとしたけど、好きになれなかったんだ。いつもテディベアの人形をもってきて、さあ、次の生徒がきたからぼくの練習はおしまいといって、逃げてばかり(笑)。でも、母はそれを見ていたので、逃げられないようにうまく練習させられた」
 クルマもコンピュータも大好きだという現代青年。いまはロシア作品やドイツ・オーストリア作品をレパートリーのメインに置いているが、そのなかでもスクリャービンとメトネルに集中したいそうだ。
 そしてコンチェルトは、ブラームスとベートーヴェンの全曲を一気に弾くチクルスに挑戦したいとか。
「イギリスにいた時代、まだ友人を選ぶ基準がわからなくて、いろんな人とつきあっていた。でも、自分が落ち込んだとき、本当の友はだれなのかがわかった。ぼくは音楽的に恵まれたなかで育ったから、みんな悩みなんかないと思っているようだけど、いつも壁にぶつかってばかり。それを乗り越えながら、現在までピアノを続けてきた。技術重視ではなく、何を表現するかを大切にしたいので、今後も作曲家の表現したかったことに寄り添う演奏をひたすら追求していきたい」
 このインタビューは次号の「音楽の友」に掲載される予定である。
 今日の写真はインタビュー時のヴァイマン。家族や親しい友人には「ダニー」と呼ばれているそうだ。



 
 
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