Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ニュウニュウ
 中国のピアニスト、ニュウニュウに初めて会ったのは2年前の夏。今回は久しぶりに会い、その成長ぶりに驚かされた。
 彼は1997年福建省生まれ。3歳で才能の片鱗を見せ、幼いころから天才少年として頭角を現し、やがて上海に移住。
 2008年から海外でも演奏するようになり、2007年10歳のときにEMIクラシックスと専属契約を結んだ。
 翌年、日本でデビュー・コンサートを行い、このときに初めて会ったことになる。当初から非常に明るく素直な性格で、「論語」を読んでいると聞かされて驚いたが、ゲームに夢中になっている姿は年相応の少年だった。
 今日は2年ぶりに会ったが、すでに182センチあるという長身で、表情もすっかり大人っぽく変貌していた。彼は2年前にアメリカのニューイングランド音楽院(ウォルナットヒル芸術学校)に全額支給の奨学生として留学。ここで普通高校の授業と、ピアノの両面を学んでいる。
「もう会話は英語でも大丈夫だよ、一生懸命勉強しているから日常会話はだいたいオーケー。でも、学校の英語(国語)の授業が一番難しい。化学や物理は得意なんだけど、アメリカ人と一緒に勉強する英語はすごく大変」
 ただし、勤勉な彼のこと、習得は早い。ピアノの腕もめきめきと上がり、新譜「ラ・カンパネラ」(EMI)ではリストのトランスクリプションの数々を磨き抜かれたテクニック、躍動感あふれるリズム、みずみずしい歌心をもって演奏している。
「録音のとき、ディレクターは1度弾いただけですぐにオーケーを出してくれたんだけど、ぼくは納得いくまで何度も弾き続けた。最後はディレクターが根負けして、“もう自分でレコーディングもミキシングもしたら”と苦笑していた」
 レコーディングのスケジュールは3日間とってあったが、何度も繰り返して弾いても2日間で全部終了してしまったという。
「トランスクリプションは原曲を理解していないと弾けないし、そこにリストが何を盛り込んだかも深く知らないといい演奏にはならない。結構、こまかいところが大切なんだよね」
 ニュウニュウとは一緒に食事をして雑談をしたこともあるが、頭の回転が早く、自分が興味を覚えることにはとことんこだわり、納得いくまで追求する姿勢を崩さない。
 いまはマジックに凝っているというから、「どんなマジック?」と聞いたら、早速自慢の手品を披露してくれた。
 それはスクリューのついたネジを指の間にはさみ、何の力も加えずにそのスクリューを自然に回してみせるというもの。
「あらー、すごく不思議。どうしてそれが回るの。えーっ、なぜなぜ」
 私が驚いていると、にやにやしながら得意そうに「もっとあるけど、また次の機会にね」といって、若きマジシャンはネジを大切そうにジャケットのポケットにしまいこんだ。
 新譜のリストは、恩師のひとりであるレスリー・ハワードが原典版をもとに指導してくれたそうで、それがとても勉強になったそうだ。このインタビューは次号の「intoxicate」をはじめ、いろんなところで紹介するつもり。リスト論がおもしろかったので。
 今日の写真はインタビュー後の1枚。笑顔の写真は好きではないそうで、シリアスな表情を崩さなかった。クールな感じがいいらしい。そういうお年頃なのかしら…。本当は、笑うとすごくキュートなのに。

| 親しき友との語らい | 21:29 | - | -
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