Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ルドルフ・ブッフビンダー
 昨夜は、台風のなか、ブッフビンダーのコンチェルトを聴きにすみだトリフォニーホールに行った。
 プログラムはブラームスのピアノ協奏曲2曲だが、彼の希望で前半が第2番、後半が第1番という順番だった。
 ルディさまはインタビューでも語っていたが、各地でこの2曲をひと晩で演奏するスタイルをとっていて、必ず第2番を先に演奏するそうだ。
 それは第2番は非常にデリケートで、第1番は劇的で重厚な作品ゆえ、この順番が適しているからだそうだ。
 まさに、聴き手もこの順番で聴くのが実に自然だった。ルディさまはリサイタルのときとはまた異なった深々とした重厚な打鍵と、絶妙のペダリングを駆使し、スケールの大きなブラームスを生み出した。緩除楽章では繊細さと詩的な雰囲気と、ときにブラームスの歌曲にも通じる静謐な甘美さとでもいおうか、心に響く温かさを醸し出していた。
 しかし、どんなに弱音になっても、オーケストラの響きに決して埋没することがない。芯の強い強靭な個性に裏付けられた音質は、まったく揺るがないのである。浸透力の強い音がビシーっと響いてくる。
 彼は「私は完璧主義者でね」と語っていた。その完璧さを追求し、ブラームスの作品ならではの深遠さと雄々しさ、北国の空気を思わせるほの暗い響きがひとつひとつの磨き抜かれた音色から発せられ、かの地に運ばれていくような感覚を抱いた。
 この公演評は、次号の「モーストリー・クラシック」に書く予定である。
 コンサートが終了して会場を出た途端、猛烈な風雨に見舞われ、友人のKさんと私は傘がまったく役に立たない状況。駅まで必死で歩くうちに全身びしょぬれ。靴のなかまで雨が入り込み、Kさんはメガネまでぬれてしまった。
 深遠なブラームスのあとの暴風雨。からだはびしょびしょだったが、家にたどり着くまで、私の心のなかはブッフビンダーの伝統的な奏法による、完璧に鍛え上げられた奏法が渦巻き、微動だにしない美しい姿勢も脳裏に焼きつき、ほんわか幸せな気分だった。
 でも、さすがに帰路に着く間にもっともっとぬれて、家の玄関に入った途端、全身から水がしたたり落ちた。でも、家に着いた5分後から猛烈な風が吹き、その前になんとか無事にたどり着いただけラッキーだったかも…。いろいろな意味で、この夜のブラームスは忘れられない思い出となりそうだ。
 
| クラシックを愛す | 23:28 | - | -
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