Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

<< スティーヴン・コヴァセヴィチ | main | ノルマ達成!! >>
ジネット・ヌヴー
 最近は歴史的な名演でも、非常に安い価格で販売され、手に入れやすくなっている。
 今日は、フランスの天才女流ヴァイオリニストのジネット・ヌヴーの名盤とされるブラームスとシベリウスのヴァイオリン協奏曲を聴いた。EMIからリリースされた999円の限定盤で、最新マスター音源使用というディスク。録音はブラームスが1945年、シベリウスが1946年である。
 ジネット・ヌヴーは1919年パリ生まれ。幼いころから非凡な才能を発揮し、7歳でブルッフのコンチェルトを弾いてデビューした。
 11歳でパリ音楽院に入学し、その後カール・フレッシュに師事。15歳のときにワルシャワで開かれたヴィエニャフスキ国際コンクールで優勝。このときの第2位は27歳のダヴィド・オイストラフだったというから、その才能には計り知れないものがある。
 以後、ピアニストの兄ジャンとともに世界中をツアーして回り、録音もいくつか残している。
 そんな彼女は1949年10月、5度目のアメリカ公演に行く途中、搭乗した飛行機がアゾレス諸島の山に激突し、兄とともに帰らぬ人となった。
 30歳の短い生涯のなかで、ヌヴーの残した録音はいくつかあるが、なかでもこのブラームスとシベリウスのコンチェルトは永遠不滅の魅力をたたえている。
 もえたぎるような情熱、深々と歌う詩情あふれる旋律、陰影に富んだ濃厚な表現、凛とした音色、突進するようなはげしいリズム、何もかも類まれなる才能を示している。
 もちろん音質は現在のクリアなものとは異なるが、音楽の奥にヌヴーの熱きパッションが潜み、はるかなるときを超えて聴き手に作品のすばらしさを訴えかけてくる。
 以前、庄司紗矢香がこのLPをパリで見つけ、「私の宝物」だといっていたのを思い出す。
 彼女はヌヴーに関してこう語っていた。
「LPで聴くと、ヌヴーのいろんなことを超越した精神性の高さが音の向こうに見えるのです。音楽は日常から解放されて高いところへと連れていってくれるものだと思いますが、ヌヴーの演奏はまさしくそれです。私もいつもそうした高みに自分も上り、聴いてくださるかたもそうした場所にいくことができる演奏をしたいと願っています」
 庄司紗矢香のことば通り、ヌヴーのブラームスとシベリウスは別世界へと運んでくれる。彼女がもっと長く生きてくれたら、20世紀のヴァイオリンの世界が大きく変わっていたかもしれない。
 でも、彼女はこんなにもすばらしい録音を残してくれた。このことに感謝すべきだと思う。
 今日の写真はそのCDのジャケット。何度も繰り返して聴きたい、名盤である。

| クラシックを愛す | 22:35 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< June 2017 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE