Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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アンドレイ・ガヴリーロフ
 最近は来日公演もなく、新譜のリリースもないため、なかなか演奏を聴くことができなくなってしまったロシア出身のピアニスト、アンドレイ・ガヴリーロフ。1974年のチャイコフスキー国際コンクールの覇者である彼は、以前はひんぱんに来日し、楽器を存分に鳴らすスケールの大きな演奏を聴かせてくれたものだ。
 そんなガヴリーロフを含む数人で食事をしたことがある。そのときの彼は場を楽しくしようと、懸命にいろんな話をしてくれ、ユーモアたっぷりの小話がいろんな話の端々にはさみ込まれていた。
 当時ドイツに住んでいた彼は、日本のホールの響きはどこもすばらしいとほめたたえ、それに引き換えドイツはねえ、と一瞬沈黙し、次に得意の小話が飛び出した。
「ドイツのある都市にかなり音響のよくないコンサートホールがあるんだけど、どんなにひどいかというと、それを示すいい例としてこんなエピソードがあるんだ。生前バーンスタインがここで指揮をしたときに、演奏が終わったあと彼はムッとした表情をして、いつもはおるガウンを肩にかけたまますわっていたんだって。そこへこのホールの支配人がニコニコしながらやってきて“マエストロ、わがホールの響きはいかがでしたかな”と問いかけた。するとバーンスタインはひとこと“テリブル!”と叫んだ。支配人はびっくりして“では、マエストロ、どこをどう直したらよくなるのでしょうか”とおそるおそる聞いた。バーンスタインは何ていったと思う? 彼は顔色ひとつ変えず“焼いてしまえ”って叫んだんだってさ」
 ここで一同大爆笑となった。
 食事のときにみんなが興味を持つ話題を提供することは本当に難しい。ある一部の人にだけ理解できる話題に偏ってもいけないし、かといってあまり音楽的につっこんだ話では堅苦しくなってしまう。
 まあ、この話は真偽のほどは確かではないが、ガヴリーロフのようにこうした話題をたくさん持っていると、場がしらけず時間がスムーズに流れる。
 最近、和食の食材に興味を持つ海外の音楽家が多い。それにまつわる気の利いた話でもできればいいのだが、急には思いつかない。食事は黙ってするという図式が変わってくると、日本人は大変だ。
 この前「アーティスト・レシピ」の話をしたら、そのなかに入っていないアーティストから「ぼくのレシピは何?」と聞かれて答えに窮したことがある。やっぱり外国人と食事をするのは難しいものだなあ(笑)。 
| アーティスト・クローズアップ | 21:53 | - | -
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