Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

<< ボー・スコウフス | main | ベン・キム >>
ニコライ・ホジャイノフ
 今年4月、日本でレコーディングをしたニコライ・ホジャイノフの日本デビューCD「マイ・フェイヴァリッツ」(ビクター)が10月3日にリリースされる。
 収録曲はベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番作品110、シューベルトの「さすらい人幻想曲」、ショパンのスケルツォ第4番とバラード第2番、リストの超絶技巧練習曲集より第5曲「鬼火」と「メフィスト・ワルツ第1番(村の居酒屋での踊り)」。
 このライナーノーツを書いたため、ひと足早く新譜が届いた。
 以前ブログでも紹介したが、ホジャイノフは20歳という年齢にもかかわらず、非常に思慮深く、知的で、死の影を感じさせるような作品に無性に惹かれるという。
 今回の選曲も、特にベートーヴェンとシューベルトにそれが色濃く映し出されている。そうした作品を鍛え抜かれた技巧と楽譜の深い読み込みで情念の深さを表すように弾き進めていく。
 ホジャイノフの演奏は2010年のショパン・コンクール、今春の日本公演でも聴いたが、絶妙のペダリングに支えられた明快な響きが特徴。もちろん若手ピアニストゆえ、一気に疾走していくようなはげしさも見せるが、終始思考し、作品の奥に潜む文学的な要素に肉薄し、美しいポエティックな表情をのぞかせる。
 彼はショパン・コンクールの第1次予選では最高点をマークした。その底力が、今年5月に受けたアイルランドのダブリン国際ピアノ・コンクール優勝という栄冠につながった。
 実は、このデビューCDのプロモーションで10月に来日する。そのイヴェントのインタビュアーをすることになった。
 ホジャイノフは決して雄弁なほうではない。気に入った質問になると一気に語彙が増えるものの、あまり気の乗らないと感じる質問には結構そっけない。
 こういう人を公開の場でインタビューするのは、かなりテクニックを要する。気を引き締めて、会場を盛り上げなくてはならないし、少しでも多くのことばを引き出さなくてはならない。
 それまで何度も録音を聴き、インタビューに備えなくては。それにしてもこの若さで作曲家の苦難の人生の痛みが映し出された作品が好きとは、おそるべきピアニストだ。
 きっと、今後も一気に階段を駆け上がって才能を開花させていくに違いない。そのプロセスを聴き続けるのが楽しみだ。
 今日の写真はCDのジャケット。フワフワの巻き毛がキュート。それにいつ会っても、ものすごくおしゃれ。


 
 
 
| アーティスト・クローズアップ | 21:43 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< April 2017 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE