Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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樫本大進&コンスタンチン・リフシッツ
 今日は樫本大進とコンスタンチン・リフシッツのCDリリースコンベンション(EMI)のインタビュアーを務めた(サントリーホールのブルーローズ)。
 これは樫本大進がEMI CLASSICSと世界契約を果たし、第1弾としてベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ作品30(第6番〜第8番)を10月3日にリリースするのに先駆けて行われたもので、各メディア、ディーラー、CDのユーザーが250名ほど集まり、彼らの演奏とトークを楽しんだ。
 私の役目は、彼らに今回のレコーディングのこと、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏に関すること、そして大進にはベルリン・フィルのコンサートマスターとしての近況、彼が音楽監督を務めているル・ポン2012(姫路国際音楽祭と赤穂国際音楽祭)に関してなど、幅広い質問をすること。
 大進にはデビュー当時からインタビューをし、海外録音の取材も行い、長年にわたって演奏を聴き続けてきた。彼のさまざまな苦難の時期も知っているため、いまの自信に満ちた演奏をする姿を見るにつけ、胸が熱くなる。
 一方、リフシッツにも17年前に出会い、口の重いシャイな性格に苦労したものだが、いまではジョークもはさみ込み、雄弁に語ってくれるようになった。
 大進がコンサートマスターになってからはや3年。いろんな指揮者がベルリン・フィルにやってくるため、すごく楽しいという。オーケストラのこのポジションは重責だが、ようやく自信を持って自分の意見を明確に打つ出すことができるようになったそうだ。
 ただし、練習に次ぐ練習の日々で、一時たりとも休むことはないという。さまざまなオーケストラ作品を演奏することに喜びを感じ、その経験がソロや室内楽を演奏するときに非常に役立ち、楽譜の読み込みの深さにつながっていると目を輝かせる。
 一方、リフシッツは昔からJ.S.バッハを得意とする。大進とは10年前に「クロイツェル」で共演し、今回のプロジェクトにつながったわけだが、偉大な作品を気心の知れた大進と演奏することができ、とても有意義だと感じていると語る。
 大進は、リフシッツの演奏に触れたときから、「真の天才」と感じ、彼のピアノに一種の憧れを抱いた。そして自分がいつの日かベートーヴェンのソナタ全曲を演奏する機会が巡ってきたら、「ぜひ、コンスタンチンと組みたい」と願った。
 そのチャンスが到来したのが2008年。ふたりは大きなプロジェクトに向かって歩みを進めることになる。
「大進からオファーがあったとき、とても光栄だと思った。ふだんから仲がよく、彼のヴァイオリンはよく知っていたし、すばらしい音楽家なので、ぜひベートーヴェンを一緒に演奏したかった。大進とともに演奏できてとても幸せだ」
 こう答えるリフシッツの横で大進は額に汗がにじんでいた。
「冷や汗かいてますね」というと、「いやー、こんなこといわれちゃって、まいったなあ」
 大進はほめられると、てれまくって、居心地が悪くなるタイプだ。
 コンスタンチンは、そんなやりとりを見て、にこにこ笑顔を浮かべながら、シリアスに、しかもユーモアを交えて話す。
 実は、大進は以前リハーサルのためにリフシッツの家に宿泊していたのだが、朝どこからともなくバッハの調べが聴こえてきた。隣の部屋でリフシッツがピアノを弾き、大進を目覚めさせたのである。
「こんな幸せな目覚めはないですよね。ああ、なんてすばらしい朝なんだろう、天才の弾くバッハで目が覚めるなんて、と思いましたよ」
 大進のことばを受けてリフシッツが続ける。
「だって、ショスタコーヴィチを弾くわけにはいかないでしょ」
 ここで、会場中が爆笑となった。
 彼らふたりは本当に仲がいい。音合わせの時間も、眉間にしわを寄せながら真剣に弾いているのだが、その合間に冗談をいいながら大笑いしている。
 大進は昨日到着。リフシッツは今朝来日。だが、ふたりとも精力的に取材をこなし、コンベンションで演奏し、10月5日から11日まで上記の音楽祭で演奏する。
 彼らのベートーヴェン・シリーズの完結編は、2013年1月29日サントリーホールでの第3番、第4番、第9番「クロイツェル」。録音も引き続き行われる。
 今日の写真はすべてが終了した後、にこやかな笑顔を見せるふたり。本当に気の合ういい音楽仲間、親しい友人という感じが出ているでしょ。

| 親しき友との語らい | 23:15 | - | -
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