Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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アルトゥーロ・トスカニーニ
 アルトゥーロ・トスカニーニが残した映像で彼の指揮法を見ていると、現在の指揮者のルーツのような振りかたをしていることに気づく。
 タクトのこまかい運び、左手の使いかた、からだ全体でのリズムの刻みかた、微妙な顔の表情でオーケストラに自分の意図しているところを伝えるなど、そのすべての動きが指揮の原点のように思えるのだ。
 若手指揮者にトスカニーニをどう思うかと尋ねると、みんな一様に「すばらしい指揮者だと思う。大先輩として尊敬している」という答えが戻ってくるが、しかしそれに続けて必ず「でも、まねはしたくない」と付け加える。それだけ彼らにとって気になる存在だということなのだろう。
 トスカニーニの指揮はCDで聴いてもそのエネルギーの爆発に驚かされるが、それを映像で見ると疲れを知らないパワフルな指揮姿に「一体この収録は何歳のときなのだろう」と疑問を抱いてしまうほどだ。
 トスカニーニは大変長生きした人で、1867年イタリアのパルマで生まれ、1957年ニューヨークで没している。90歳を目前にして亡くなったわけだ。亡くなる3年前まで超人的な活動を続けた彼だが、コンサートのみならず多くの録音を残している。
 彼が自らのオーケストラ、NBC交響楽団を指揮しての1948年から1952年までの貴重な映像では、得意のヴェルディのオペラ「アイーダ」から、名演と名高いレスピーギの「ローマの松」まで多彩なレパートリーを披露。コンサートの風景を映し出した映像はともすれば単調になりがちだが、トスカニーニの場合はモノクロの映画を見ているような感覚が味わえる。威厳に満ちた風貌のトスカニーニが、楽譜に忠実に正攻法で演奏する。ただこれだけなのだが…。
 彼はニコリともしないし、踊るような楽しい指揮姿を見せるわけでもない。楽章の合間にほとばしる汗を拭き、ただひたすら指揮に没頭する。ベートーヴェンの第9やオペラの合唱部分ではのってきて一緒に歌っている。
 しかし、これとても楽しそうに歌っているわけではない。かみつかんばかりの表情だ。最近ではオーケストラと仲間意識を持って協調を図りながら指揮する人が多くなった。トスカニーニの絶対君主的な統率力が妙になつかしい。
| クラシックを愛す | 22:47 | - | -
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