Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

<< ラドゥ・ルプー | main | 柿とカブのサラダ >>
カティア・ブニアティシヴィリ
 新しい才能の出現は常に心躍るものがあるが、グルジア出身のピアニスト、カティア・ブニアティシヴィリも彗星のごとく登場した期待の星である。
 デビューCDは2010年に録音された「リスト・アルバム」(ソニー)。そして今回の来日に合わせてリリースされたのが「ショパン・アルバム」。
 いずれもこれまでのだれの演奏とも似ていない、彼女ならではの美しい音色とゆったりとしたテンポ、特有のアンニュイで官能的な空気がただよう演奏。もちろん超絶技巧をものともしない自由闊達なテクニックと表現力が根底に息づき、ある種のロマンもただよわせる。
 11月4日にはサントリーホールでヴァイオリンのギドン・クレーメル、チェロのギードレ・ディルヴァナウスカイテとのトリオの演奏会があり、チャイコフスキーのピアノ三重奏曲「ある偉大な芸術家の想い出のために」ほかをすばらしいアンサンブルで聴かせてくれた。
 クレーメルはカティアを高く評価し、彼女に数多い共演の場を提供しているという。
 次いで11月6日には浜離宮朝日ホールでカティアのリサイタルが開かれた。
 前半はショパンのピアノ・ソナタ第2番「葬送」と、ショパンのバラード第4番、リストの「メフィスト・ワルツ第1番 村の居酒屋での踊り」。後半はシューベルト/リスト編の「3つの歌曲」と、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカより3楽章」。いずれも彼女が大得意とする作品ばかりだ。
 リサイタルには、大勢の男性が聴きにきていたのが印象的だった。彼女はとても美しく個性的で、往年の女優のような雰囲気を持っている。まだ20代半ばだが、とても妖艶で不思議な魅力を醸し出す。
 演奏も、ナマで聴くとより風情があり、みずみずしく色香が感じられる。男性ファンが集まるのも、納得だ。もちろん、クレーメルが認めるだけあってテクニックは安定し、推進力に富み、迷いがない。
 トリオの演奏会の前日、「レコード芸術」のインタビューに行った。
 会った途端にとても親密的な雰囲気が生まれ、ひとつひとつの質問にとてもていねいに答えてくれ、しかも内容が濃い。
 すでに年間130回近いコンサートが入っていて、超多忙だそうだが、根がのんびりしていて自由人だという。
「趣味の時間はまったくないし、ピアノ漬け。でも、いろんなところに行くことができるから楽しいわ」
 グルジアは語学が堪能な人が多いそうで、カティアも5カ国語を話す。
「日本語も習いたいけど、難しそうね。ちょっと急には無理だわ」
 今回はすっかり和食にはまり、「たまらなく好き」といっていた。
 デビュー作にリストを収録したのは、子どものころから、初レコーディングには絶対大好きなリストを入れようと思っていたという。ショパンも好きで、その作品論を雄弁に語ってくれた。
 特有の美に彩られ、たっぷりと歌うピアノは大きな個性だ。その歌心は祖国の民謡から学んだという。
 リサイタルのアンコールには、「カティア編曲 グルジア民謡より」という曲が演奏された。旋律が牧歌的なおだやかさを備え、ゆったりしたテンポで聴き手の心に響くように奏でられるこの音楽は、彼女が愛してやまないといっていた祖国の音楽のすばらしさを伝えていた。
 今日の写真はインタビュー後の2枚。
「ええっ、写真撮るの。今日はそんなにいい格好していないのよ」
 大丈夫よ、というと、こんなにステキなポーズをとってくれた。すぐにでも再来日してほしい逸材だ。



 

| アーティスト・クローズアップ | 22:37 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< May 2017 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE