Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

<< 柿とカブのサラダ | main | レオ・ヌッチ >>
ワレリー・ゲルギエフ&ナタリー・デセイ
 昨夜は、サントリーホールで行われたワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団の来日公演を聴きに行った。
 演目は、ドニゼッティの歌劇「ランメルモールのルチア」のコンサート形式。ルチアをナタリー・デセイが歌うことで、ホールは満席。開演前から熱気がただよっていた。
 クラシックの音楽家は、「完璧主義者」と呼ばれる人が多い。そのなかで、ゲルギエフとデセイは抜きん出た存在。演奏の冒頭から最後の音が終わるまで、ピーンと張り詰めた緊迫感がただよい、並々ならぬ集中力が支配し、ひとつひとつの音が磨きに磨かれ、一瞬たりとも弛緩しない。
 ゲルギエフはオーケストラの細部までこまやかに目を配り、バランス感覚を大切に、歌手と合唱との融合を図っていく。
 コンサート形式だから舞台装置もなく、演技も行われないわけだが、だからこそ歌に集中でき、聴き手も次第に神経が研ぎ澄まされていく。
 デセイの表現力は身震いするほどで、鬼気迫る歌唱に圧倒された。彼女のコロラトゥーラの超絶技巧は、やはり「狂乱の場」で全面的に開花。正気を失いながら歓びと苦悩と恐怖の間をさまようルチアを、ひとり舞台のように歌い上げ、ときに叫び声を上げ、また泣き崩れ、嗚咽のなかから夢見るような表情を見せ、迫真の演技力と表現力で歌いきった。
 これが完璧主義者の歌なのだろう。ゲルギエフが高く評価するのも納得だ。両者の音楽に賭ける一途な思いがこの舞台に結集し、まさに心に残る名演を生み出した。
 2010年9月にサンクトペテルブルクで行われたゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団、デセイ主役のライヴ録音がリリース(キングインターナショナル)されているが、やはりここでも緊張感がみなぎっている様子が音から伝わってくる。
 ナタリー・デセイは来日ごとにすばらしい感銘を与えてくれるが、今回もまた彼女の完璧に磨き上げられた「ルチア」に胸が熱くなった。
| クラシックを愛す | 22:44 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< March 2017 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE