Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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レオ・ヌッチ
 近ごろ、これだけ会場が湧いたコンサートはないのではないだろうか。
 今日は東京オペラシティにイタリアの名バリトン、レオ・ヌッチのデビュー45周年記念リサイタルを聴きに行った。2013年はヴェルディ生誕200年のメモリアルイヤーだが、この公演はプレイヤー企画として行われたもの。
 ヴェルディのオペラ・アリアはもちろんのこと、珍しい歌曲も加わり、さらにトスティも何曲か入ったプログラム。
 レオ・ヌッチはオープニングからすでに声が全開。ひとつひとつの役柄、曲の内容に合わせ、短い序奏の間にストンとその役になりきる。そして張りのあるドラマティックな低音を朗々と響かせ、こまやかな表現力で聴き手を酔わせていく。
 今回のバックを務めているのは、イタリアン・チェンバー・オペラ・クィンテット。ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ハープという組み合わせで、本公演は昨年パルマで大成功を収めた記念リサイタルの再現となっている。
 1曲終わるごとに「ブラボー」の嵐だったが、曲が進むにつれて声の出がどんどん加速し、表現が鬼気迫るものになり、ひとり芝居のような様相を呈し、最後は「レオ・ヌッチ劇場」という感じ。
 アンコールを求める拍手喝采はいつまでも止まず、「ありがとうございます」と日本語であいさつし、「リゴレット?」とみんなに聞くと、大歓声のなか、またもやストンと役に入り、自家薬籠中の「リゴレット」の「悪魔め、鬼め」を歌い出した。各地で何百回も歌っているというこのアリアのなんとすばらしいことか。「リゴレット」はレオ・ヌッチ以外には歌えないのではないだろうかと思ってしまう。
 その後、何曲かアンコールに応え、「忘れな草」が登場すると、もうみんな拍手と叫び声が止まらない。するとヌッチは「オー・ソレ・ミオ」を笑顔で歌い始めた。そして「オー・ソレ・ミオ」の箇所を一緒に歌え歌えと聴衆に合図。みんな大声を張り上げて一緒に和し、会場は興奮のるつぼと化した。
 ヌッチは今年4月に70歳になった。しかし、声はまったく衰えず、成熟度と洞察力が増し、聴き手を圧倒的な感動へといざなう。
 今日は、日ごろの疲労がたまりにたまってコンサートに行くのもおっくうな感じだったが、ヌッチのすばらしい歌声に疲れが吹き飛び、帰り道はずっと「忘れな草」を口ずさみながら家まで元気にたどり着いた。
 やはり音楽は偉大である。疲労困憊していた私は、音楽に救われたのである。 今日、会場で知り合いの編集者に会ったのだが、「伊熊さん、ちっとも疲れているように見えないよ。なんか、すごく生き生きとしている」といわれた。あらら、不思議…。
 これが音楽の持つ力だと実感。というわけで、私は以前にも増してレオ・ヌッチが大好きになってしまった。またすぐに来日してほしいなあ。 
 
 
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