Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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イングリット・フジコ・ヘミング パリの演奏会
 今回のフランス出張の最後、パリでイングリット・フジコ・ヘミングのリサイタルを聴くことができた。
 1月、フジコさんとFAXと電話のやりとりをするなかで、私が2月4日にナントからパリに移り、5日までパリで仕事をすると伝えると、早速彼女から電話がかかってきた。
「いまね、ブダペストのコンサートから戻ってきたばかりなの。向こうもパリもずっと雪よ。あなた、ちょうどよかったわ。私、2月4日にパリでコンサートをするのよ。ぜひ、聴きにきてちょうだい」
 当日、出張でご一緒した音楽ジャーナリストの片桐卓也さんをお誘いし、20時にアテネ劇場にいった。なんでも、片桐さんはだいぶ前にこの劇場を訪れたことがあるそうで、とてもなつかしいと話していた。
 19世紀の面影が残るこの劇場の正式名称はアテネ・ルイ・ジューヴェ劇場。フランスの俳優で演出家でもあり、劇団主宰者でもあったルイ・ジューヴェの名が冠されている。
 創設は1893年で、パリの第9区、オペラ座の近くに位置している。偶然のことながら、今回パリで宿泊したホテルがつい目と鼻の先だったため、とても便利だった。
 当日のプログラムは、ムソルグスキー「展覧会の絵」やシューマンの「謝肉祭」をはじめ、ラフマニノフ、J.S.バッハ、リストの作品なども組み込まれた多彩な選曲で、2時間半は優に超える長大なリサイタルとなった。
 もっとも印象的だったのは、日本で聴く演奏とはまるで異なり、自由でのびやかで、開放感と歌心に満ちあふれていたこと。やはり、彼女はヨーロッパで演奏するほうが性に合っているらしい。
 しかし、大風邪をひいていて、ときどき鼻をかんだり、咳きこんだりしていた。
 アテネ劇場は外観も歴史を感じさせるが、内部もまた古きよき時代の息吹を感じさせ、そこでフジコさんの音楽を聴くと、19世紀にタイムスリップしたような感覚にとらわれた。
 終演後、楽屋を訪れると「もう、風邪がちっとも抜けなくて、咳がひどいために眠れないのよ」と話すため、私が差し入れの日本茶とお餅を渡すと、「もっと話したいけど、風邪をうつしちゃうからダメなの」とのこと。
 ちょうど私が飛行機のなかでなめようと、よく効くせきどめのキャンディをもっていたため、それを少しあげようかなと思って出すと、「あら、ありがと」といって、缶ごともっていってしまった。
 ああ、帰りの飛行機のなかは、どうしたら…。まっ、いいか(笑)。
「じゃ、またすぐに日本に帰るから連絡するわね」
「ええ、待っています。お大事に」
 こういって別れ、いま聴いた演奏の余韻を楽しみながら、すぐそばのホテルまで帰った。
 フジコさんの海外での演奏は、初めてのミュンヘンでの海外録音、カーネギーホール・デビューと聴いてきたが、いつも日本での演奏とは大きく異なる。今回も、以前よりもずっとすばらしい演奏になっていて、その努力に頭が下がる思いがし、感慨深かった。
 今日の写真はアテネ劇場の外観と、内部と、プログラム。彼女はいつもながらの個性的なドレスの上に、日本の着物をはおっていた。 





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