Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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カニサレス
 1月末から2月初旬にかけてのナントとパリでの「ラ・フォル・ジュルネ」の取材では、何人かのアーティストにインタビューを行い、それをさまざまな新聞や雑誌やWEBの記事に書いている。
 いま書いているのは、ヤマハのWEB「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」に掲載される予定のカニサレスの原稿。
 スペインのフラメンコ・ギタリストのカニサレスは、ナントではロドリーゴの「アランフェス協奏曲」とフラメンコの作品(彼のオリジナル)の両方を演奏したが、いずれもリズムが際立ち、情熱的で、ときに土の匂いがするような音楽だった。
 インタビューで私が一番聞きたかったのは、クラシックとフラメンコの奏法の違い。これを質問すると、ちょっと影のあるアンニュイな表情をしているカニサレスは、途端に目が輝き、雄弁になった。
 もちろんクラシックとフラメンコでは旋律、リズム、表現、解釈などすべてが異なるが、彼はその両分野を演奏することに大きな喜びを抱いているようだった。そしてもっとも重要なのは、楽器だという。
 カニサレスは有名な製作家にこまかく指示を出して自分がクラシックもフラメンコも弾くことができるよう、最良の楽器を特注しているそうだ。
 そのインタビューは、4月4日にアップされることになっている。
 ここで、ひとつビッグニュース。カニサレスはいま新しい楽器を特注していて、「ハイブリットのギターだよ」といっていたが、そのできたてのほやほやの楽器を日本公演にもってくるかもしれないという。
「もしもすばらしい仕上がりだったら、日本でクラシックとフラメンコの両方をその楽器で演奏したいと思っている。全体のサイズから弦と弦の幅、棹の長さ、その他あらゆるところを自分の思うように作ってもらった楽器だから」
 カニサレスの演奏は、もちろんスペイン人ならではの情熱的で躍動感に満ち、心が高揚するような演奏だが、その奥に不思議な静けさが宿っている。
 そのある種のミステリアスな表現は、彼のインタビュー時の表情、ふとした仕草、シャイな笑顔、生真面目な態度、ひたむきに音楽について語る様子で理解することができた。
 カニサレスは陽気で開けっぴろげで情熱的で雄弁なスペイン人ではなく、光と影の両面を有している人だということがわかった。彼のギターの繊細でこまやかな表現に、その人間性が全面的に映し出されている。
 今日の写真はナントでのインタビュー時のカニサレス。ポーズを頼んだわけではなく、自然にこういう表情になったのだが、やはり影がのぞいているよね。
 ちょっとアンニュイな雰囲気がただようこの顔つき、きっとファンにはたまらないんだろうな。
 ぜひ、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013」で、クラシックとフラメンコの両方を聴いてみてくださいな。まさに光と影が映し出されているから。


 
| アーティスト・クローズアップ | 22:37 | - | -
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