Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ニコライ・ホジャイノフ
 昨夜は、浜離宮朝日ホールにニコライ・ホジャイノフのリサイタルを聴きにいった。
 プログラムはデビュー・アルバム「マイ・フェイヴァリッツ」(ビクター)にも登場している、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番からスタート。ホジャイノフはベートーヴェンの後期のソナタに魅せられ、弾かずにはいられないと語っているが、このソナタもすでに自身のレパートリーの中心をなす作品となっている。
 以前、武蔵野市民文化会館で聴いたときよりもなおいっそう自信に満ちた響きで、各楽章の特質を明確に浮き彫りにしていた。
 次いでラヴェルの「夜のガスパール」。これは今年の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」でアブデル=ラーマン・エル=バシャがラヴェルのほぼ全曲演奏を行ったが、そのときに「ラヴェルの作品のなかでもっとも難しい作品。と同時に、フランスのピアノ作品のなかでももっとも難しい作品」と評していたもの。「オンディーヌ」「絞首台」「スカルボ」という3曲で構成され、それぞれ複雑なリズムと主題と和音と内容と技巧が盛り込まれている。
 ホジャイノフは優れたテクニックの持ち主で、難度の高い作品を得意とするが、「夜のガスパール」はそれでもなおこれは非常に難しい作品だということを示唆していた。
 ラヴェルのピアノ作品は、特有のエスプリ、ユーモア、ウイットなどが潜んでいる。それを表現するのは、至難の業である。私はラヴェルが大好きなため、さまざまなピアニストでこの作品を聴いている。そして、いつもその斬新で複雑で繊細で詩的であり、また悪魔的でもある内容の表現の難しさに、ピアニストの挑戦心と苦労と複雑な心境を思い知らされる。
 後半は、ショパンの晩年の美しい作品「舟歌」と「子守唄」が選ばれていた。これら2曲もまた、深い表現力と思考と洞察力を要する。ホジャイノフはこれらをクリアな響きで主題をくっきりと際立たせ、ゆったりとしたリズムを楽しむように情感豊かに奏でた。
 最後はリストのピアノ・ソナタ ロ短調。昨年のインタビュー時に、ロ短調ソナタをレパートリーに入れると明言していたため、楽しみにしたが、これはいまのホジャイノフの心身の充実を表している演奏となった。
 彼はアンコールでもそのテクニックの見事さを遺憾なく発揮していたが、これはやはりモスクワ音楽院のヴォスクレセンスキー教授の教えだろうか、楽器を大きく豊かにうたうように鳴らす。
 ロシア・ピアニズムの伝統は、ロシアのピアニストたちによると、恩師から弟子へと着実に継承されているとのことだが、まさにそれを実感した。
 このリサイタルの公演評は次号の「モーストリー・クラシック」に書く予定である。
 ホジャイノフは、これからたった2日間で新譜の録音を行い、この日聴いた作品を中心にレコーディングする。その成果にも期待したい。
 今日の写真はリサイタル後、サイン会を行うホジャイノフ。女性ファンが圧倒的に多く、みな写真を撮るのに夢中になっていた。

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