Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

<< プラシド・ドミンゴ | main | 単行本の打ち上げ >>
ラドゥ・ルプー
 昨夜は、オペラシティにラドゥ・ルプーのリサイタルを聴きにいった。
 プログラムは前半シューマンの「子供の情景」と「色とりどりの小品」。後半がシューベルトのピアノ・ソナタ第20番だった。
 昨年はオール・シューベルト・プロを聴いて深い感動を得たが、今年もまた心の奥深く響いてくるすばらしい演奏をたっぷりと味わった。
 ルプーの音は柔軟性に富み、やわらかく、おだやかで、しかも深遠で思索的。冒頭の音が響いた途端、私の胸には昨年の感動が蘇り、頭を垂れてひたすら聴き入った。
 ルプーのシューマンは物語性に満ち、詩的でエレガントで淡々としている。美しい声によって語られる朗読を聴いているようだ。
 ひとつひとつの音がからだのすみずみまで潤してくれ、魂が浄化していくような感覚にとらわれる。
 実は、今回の来日に際し、KAJIMOTOのホームページに「アイ・ラヴ・ルプー」の記事を寄せたが、そのとき担当の方に「ぜひ楽屋にきてください、ご紹介しますから」といわれた。
 ルプーは近年録音も行わないし、インタビューもけっして受けない。コンサートが、唯一の表現手段である。私も、これまでインタビューで会ったこともなければ、間近で話をしたこともない。
 きっととても気難しい人なんだろうな、と勝手に思っていた。
 ところが、終演後に楽屋で会ったルプーは、とてもやさしいまなざしのあったかい感じのする人だった。
 マネージメントの方が紹介してくれ、ほんの少し立ち話をしただけだが、ふんわりと大きなぬくもりに包まれる感じを受けた。
「ほらほら、伊熊さん、並んで」
 KAJIMOTOの方が、ツーショットを撮ってくれた。これは生涯の宝だ。
「ルプーさん、またすぐに来日してくださいね」
 こういうと、ルプーは困ったような顔をしてマネージャーを見、マネージャーは、「うんうん、その通り」というような表情をしていた。 
 この夜は、まさに「神の音楽」を聴いたような気分になった。現世から離脱し、別の世界へと運ばれる気持ちになったからだ。その感動はいつまでも心に残り、時間が過ぎてもけっして消えることはない。
 この日、楽屋でちょうど来日しているマレイ・ペライアに会った。早速あいさつを交わし、「来週のリサイタルにいきます」というと、「ああ、ありがとう」といっていつものおだやかな笑みを返してくれた。
 ルプーとペライアはデュオを組んで録音を行っている。ふたりの音の質はとても似ていて、どちらが弾いているのか判断しかねるくらいだ。
 今回のルプーの公演評は、次号の「モーストリー・クラシック」に書く予定になっている。そのときもまだ、演奏の鮮烈な印象が残っているに違いない。
| クラシックを愛す | 23:31 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728    
<< February 2017 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE