Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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マレイ・ペライア
 10月24日、待ちに待ったマレイ・ペライアのリサイタルを聴きにサントリーホールに出かけた。
 ペライアの演奏はいつ聴いても心がほのぼのと温かくなり、その人間性が映し出された誠実で、ひたむきで、洞察力に富む深々としたピアニズムに魅了される。
 この夜は、J.S.バッハの「フランス組曲」第4番から始まった。これを聴き、おそらくペライアは以前「イギリス組曲」全曲を録音しているため、近々「フランス組曲」を収録するのだろうな、と予測させた。すでに完璧な美しさに彩られ、自信あふれる演奏だったからだ。
 あとでレコード会社の方から「ペライアは《フランス組曲》をリリースする予定だそうですよ」ということばを聴き、予測があたって、うーん、納得。
 次いで登場したのはベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番(熱情」。多くのピアニストがこのソナタをすさまじいスピードで疾走するようなはげしさを見せ、ドラマティックに圧倒的な音量で聴かせるが、ペライアはテンポを抑え、ひとつひとつの音をじっくりと聴かせ、主題を鮮やかに浮き上がらせ、最終楽章に向けて徐々にクライマックスを築いていくという奏法をとった。 
 そのなかで、「運命の動機」の情熱とエネルギーの表現が際立ち、いすから立ち上がらんばかりに体重をかけ、深い打鍵を試みる姿勢が印象的だった。
 後半はシューマンの「ウィーンの謝肉祭の道化」からスタート。この連作曲集は、演奏が非常に難しい。長大であり、文学的要素、多種多彩な曲想、幻想的なタッチ、ウイットとユーモアなど、作品に込められたさまざまな表現を、第5楽章まで一瞬たりとも弛緩せずに弾き進めなくてはならないからである。
 ペライアは、以前、こうした作品を演奏するときは、各地の図書館や資料室でオリジナルの楽譜を徹底的に研究し、作曲家の意図するところに近づいていくと語っていた。
 そのことば通り、ペライアのシューマンは、すみずみまで神経が張り巡らされた、緻密で構成力に富んだもので、その奥に限りないロマンを感じさせた。
 最後は、ショパンの即興曲第2番、スケルツォ第2番で締めくくり、アンコールもすべてショパンで構成された。
 あまりにも心に響く演奏だったため、その余韻を楽しもうということになり、この夜は久しぶりに「末っ子トリオの会」の友人ふたりとワインを飲みにいった。
 そこで出されたおまかせおつまみのひと皿が、実に美しい盛り付けだったため、すぐにパチリ。これ、自分で作るときに参考になるなあ、とひとしきり感心。もちろん味もよかったですよ。
 いい音楽に酔った日は、こうして親しい友人とおしゃべりしながら飲むのも、またいい。
 ペライアの音楽は、いつまでも心に残る。何日たっても感動の泉は枯れることがない。
 今日の写真はその美しい盛り付けのおつまみ。ちょっと参考になるでしょ。自宅のテーブルで、ぜひまねしてくださいな、ペライアのCDをかけると、もっとおいしくなるかも(笑)。

| アーティスト・クローズアップ | 23:15 | - | -
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