Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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オットー・ビーバ博士
 ウィーン・フィルの取材では、ウィーン楽友協会資料室長のオットー・ビーバ博士にお会いした。
 ビーバ博士は日本でも名の知られた著名な方で、1973年からこの資料室に勤務し、1979年に資料室長に就任した。
 この資料室は所蔵している音楽家のオリジナル楽譜や書籍、手紙、資料などの数の多さと質の高さで世界でも指折りの場所で、アルヒーフ閲覧室には歴代の著名な音楽家をはじめ、ウィーン・フィルのメンバー、ウィーンを訪れた音楽家が次々に訪れ、勉強をしていくという。
 その閲覧室は図書館か大学の研究室のようで、静謐な空気をただよわせ、音楽家たちの学びの様子をリアルに伝えていた。
 今回の取材では、自分の写真を撮るということはほとんどなかったが、この閲覧室だけは特別で、もう二度と入れることはないだろうと思ったため、部屋にすわっているところを編集の方に撮ってもらった。
 ビーバ博士は、ジュリーニやアーノンクールがここでどんな研究をしていたかを話してくれ、さまざまな作曲家のオリジナル楽譜も見せてくれた。
 さらにベートーヴェンの愛用品であった補聴器と薬を飲むときのスプーン、散歩をするときに使っていた杖も見せてもらった。こういう物を実際に間近に見ると、ベートーヴェンがすぐそこにいるような感じにとらわれる。杖はブドウの木が使われ、持ち手のところが象牙をできていた。
 補聴器やスプーンは、ながめていると、胸が痛くなるほどだった。
 ビーバ博士と一緒に仕事をしているのがイングリッド・フックス博士で、彼女はずっとブラームスの研究をメインに据えているそうだ。そして現在は、クララ・シューマンの直系の子孫から購入したシューマンの楽譜の研究にすべての時間を費やしているという。
 この楽譜は「家庭画報」にも掲載されたが、私たちが取材に訪れたちょうど1週間前に資料室の所蔵になったもので、これから世界に向けての記者会見の準備に入ると語っていた。
 このビーバ博士の部屋は、窓からカール教会が見え、部屋にはモーツァルトのオリジナルの肖像画が飾られ、棚にはさまざまな作曲家の貴重な資料が収められ、そこにいるだけでウィーンの伝統と歴史を強く感じた。
「この仕事部屋は、すばらしい環境ですね」と私がいうと、ビーバ博士は「ですから、私は毎日たくさんの作曲家に見張られているんですよ。しっかり仕事をしているかどうかをね」と笑った。
 実は、先ごろウィーン・フィルの来日公演の折り、サントリーホールの入口でビーバ博士とフックス博士にばったり出会った。
 ふたりはすぐにインタビューのお礼を口にしたため、私のほうがあわててお礼を返す形となってしまった。
 今日の写真はビーバ博士とフックス博士。それからベートーヴェンの杖と、最初は建築技師をしていたヨーゼフ・シュトラウスが建物の模型を作っていたときの物と、モーツァルトの遺品。上部にモーツァルトの髪が束ねられている。
 ビーバ博士はいろいろな物を次から次へと見せてくれ、そのつど詳細な説明をしてくれた。そのひとつひとつから音楽が聴こえてくるようだった。








 
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