Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ピーター・ウィスペルウェイ
 チェロ好きの私は、来日アーティストの演奏のなかでも、特にチェロのリサイタルは欠かさない。
 なかでも、ピーター・ウィスペルウェイの演奏には目がない。古楽器と現代楽器の両方を演奏する彼は、2012年に3度目の「J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)」をリリースし(キングインターナショナル)、ここでは1710年のバロック・チェロと18世紀のピッコロ・チェロを用いてすばらしい演奏を披露している。
 今日のリサイタルは、オール・ベートーヴェン・プログラム(紀尾井ホール)。ピアニストのパオロ・ジャコメッティと組み、チェロ・ソナタ第2番、第5番、第3番を演奏し、その間に初期の作品であるモーツァルト「魔笛」の“娘か女か”の主題による12の変奏曲、同じく「魔笛」の“恋を知る男たちは”の主題による7つの変奏曲をはさみこむというユニークな選曲だ。
 ウィスペルウェイの演奏を聴くと、いつもなんと楽々と弾いてしまうのだろうと思う。超絶技巧も難解な箇所も、彼の完成度の高いテクニックにかかると、すべてが自然で流麗な歌となる。それゆえ、技巧的なことを考えずに、作品本来の姿を楽しむことができる。
 今夜は、若きベートーヴェンが書いた、あまり演奏される機会に恵まれない変奏曲を2曲も聴くことができ、しかもウィスペルウェイとジャコメッティの見事な音の融合で堪能することができて、とても有意義だった。
 とりわけふたりの音楽が一体化していたのが、チェロ・ソナタ第3番。これはベートーヴェンの5曲のチェロ・ソナタのなかで傑作といわれるばかりではなく、古今のチェロ・ソナタにおいても傑作の誉れ高い作品。緻密な構成、明るく輝かしい旋律、高度な技巧、力強くはげしい情熱、さらに精神性の高さと親しみやすさも備えている。
 ウィスペルウェイは、すべての作品を完全暗譜。ゆえに、演奏は変幻自在で自由闊達、ピアニストとの音の対話も即興性に富む。
 今夜は、ベートーヴェンの作品のよさを存分に堪能し、チェロの響きにどっぷりと浸った一夜となった。やっぱり、チェロっていいなあ…。
 
| クラシックを愛す | 23:18 | - | -
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