Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ミハイル・プレトニョフ
 ロシアのピアニスト、指揮者のミハイル・プレトニョフが指揮者に専念するためピアニストとしての活動をいっさいやめると宣言したのは、2006年末のことだった。
 知性的で洞察力に富む、だれにもまねできない個性的な解釈と奏法をもつピアニストゆえに、このニュースは世界の音楽ファンに衝撃を与えた。
 あれから8年、プレトニョフがピアニストとしてステージに戻ってくることになった。
 実は、彼は完璧主義者ゆえ、自分の目指す音楽を演奏することができる楽器をずっと探していたようだが、あるときモスクワ音楽院大ホールの隅にほこりをかぶっているピアノを見つけた。それは日本の「SHIGERU-KAWAI」のピアノだった。このピアノの音色が非常に気に入ったプレトニョフは日本の浜松まで出向き、カワイの同ピアノを何台も試弾。以後、もう一度ピアノを弾きたいという気持ちが湧き、すでにヨーロッパではこのピアノで演奏会を行っている。
 プレトニョフが初来日したのは1980年。とてもロマンティックな演奏をし、絶賛された。
 彼はモスクワ音楽院時代に作曲を学び、これまでチャイコフスキーのバレエ音楽などのピアノ用編曲も行っている。
 作曲家、編曲家の顔ももつプレトニョフの演奏は、作品の構成を深く見つめ、自身の個性をそこに融合させ、天才的な技巧を盛り込み、伝統にしばられない斬新な演奏を披露する。
 今回の来日公演は、5月27日(火)19時、東京オペラシティコンサートホールで「協奏曲の夕べ」が開かれる。プログラムはモーツァルトのピアノ協奏曲第8番、そして長いピアニスト人生のなかで初めて演奏するというシューマンのピアノ協奏曲が予定されている。
 もうひとつは5月29日(木)19時、会場は同じ。こちらはリサイタルで、バッハの「イギリス組曲」(番号はまだ決まっていない)、シューベルトのピアノ・ソナタ第4番と第13番、そしてスクリャービンの「24の前奏曲」である。
 今日は、この来日用のチラシ裏に掲載される鼎談が音楽事務所で行われ、音楽評論家のAさん、Tさんとともにプレトニョフの魅力について語り合った。
 彼の演奏は、いつも何が起きるかわからないようなスリリングな面があり、作品を完全に自分のものとし、生きた音楽として世に送り出す。
 プレトニョフの場合、手首の位置や上腕、ひじなどの使い方がとても変化に富み、ひとつひとつの動作が音色を幾重にも変容させていく。上半身をしなやかにバネのように動かし、ペダルにいたるまでからだ全体が有機的に作用し、ピアノと一体化するのである。
 私は、プレトニョフがオーケストラの指揮をすることにより、ピアノをオーケストラに見立て、よりシンフォニックに鳴らし、楽器から多彩な響きを導き出すような演奏に変化したのではないかと思っている。
 復活したロシア・ピアニズムの継承者であるプレトニョフの演奏、異次元の世界へと運んでくれる特有の美音に包まれた演奏に期待は募るばかりだ。
 今日の写真は、東京公演のチラシ。以前、何度かインタビューをしたが、彼の額はいわゆる「秀でた額」だった。この横顔にもそれが現れているよね(笑)。

| アーティスト・クローズアップ | 22:16 | - | -
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