Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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インタビューの難しさ
 私はアーティストへのインタビューの仕事が多い。インタビューの仕事は大好きで、人と話すこと、人の話を聞くことが楽しいため、この仕事は「天職」だとも思っている。
 ただし、インタビューというのは、非常に難しいのも事実。相手に信頼されなければ内容のある話は聞き出すことができないし、さまざまな知識も必要。さらに、話のテンポも重要だ。
 最初にする質問で、すべての流れが決まってしまう場合もある。相手は偉大なアーティストである。その人を前に、内容のないことやつまらないと思われる質問をしたら、時間の無駄と思われてしまう。
 それに加え、抽象的な話や比喩などもひんぱんに登場し、それらを記事にして読者にわかりやすく伝えるというのは至難の業である。
 先日、マリア・ジョアン・ピリスのことを書いたが、彼女のインタビューはいつもこの難しさに直面する。
 話をしているときは、こまやかなニュアンスまでつかむことができ、次々に質問を重ねていくことができるのだが、いざ原稿に起こす段階になり、彼女の語ったままを書いていくと、とてもわかりにくくなってしまうのである。
 そこで何度もピリスのことばを反芻し、前後のことばとの組み合わせを考慮し、文の流れをそこなうことなく自然につながるよう、組み立てていく。
 これが結構時間がかかる。読み直してみると、つながりが不自然だったり、唐突になってしまったり、ピリスのいおうとしていることが伝わりにくかったりと、問題があれこれ出てきてしまう。
 とにかく、集中力が必要だ。
 今回のインタビュー原稿は4000字ほどだったため、読者が飽きずに最後まで読んでくれるよう、細心の注意を払った。
 何時間も集中し、なんとかまとまり、「音楽の友」の担当者のNさんに入稿したときは、かなり疲弊していた。
 でも、今日の午前中に彼女から「お話を聞いているときはなんとなくわかった気になっていましたが、ニュアンスをことばにするのはとても難しいですよね。でも、伊熊さんの原稿はとても理解しやすく、ああ、そういうことだったのか、と改めて発見がありました。本当に貴重なインタビューでした、ありがとうございました」という連絡が入り、ホッと胸をなでおろした。
 これまでも、難しいインタビューはたくさん経験している。でも、そのつど乗り越えてきた。しかし、難しければ難しいほど仕事に燃える、というのも事実である。
 さて、次はどんなインタビューが待っているだろうか。楽しみでもあり、怖くもあり…。
 

 
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