Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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コンサート続き
 近ごろ仕事仲間が集まると、「来日公演が多いよねえ」「聴きたいコンサートが重なって大変」「最近はオフシーズンがなくなったみたい」という話になる。
 本当に、今春は来日アーティストが多く、しかも同じ日に聴きたいコンサートがいくつも重なるため、聴き逃してしまう場合もある。
 昨日は東京・春・音楽祭「マキシミリアン・ホルヌング&河村尚子」のデュオ・リサイタルを聴くために東京文化会館小ホールに行き、みずみずしく勢いのあるふたりの演奏を聴き、全身に活力が湧いてくる感じを受けた。
 今日は東京オペラシティ コンサートホールで、レイフ・オヴェ・アンスネスの「ベートーヴェンの旅」と題したリサイタルを聴いた。
 昨日も書いたが、アンスネスは体調を崩していながらもなんとか来日を果たし、ひたむきで誠実な演奏を披露したが、やはりからだの芯に力が入らないという演奏になってしまった。
 初来日からずっと聴き続けている私は、最初のベートーヴェンのピアノ・ソナタ第11番を聴いた時点で、胸が痛くなった。
 いつもと何かが違う。
 真摯で思慮深く、作曲家の真意に沿う演奏だが、アンスネス本来の演奏ではない。その思いは最後のピアノ・ソナタ第23番「熱情」まで続き、やはり体調が万全でないと、ピアノはそれを正直に物語ってしまうことがわかった。
 本人が一番悔しい思いをしているに違いない。
 昨日インタビューのなかで、アンスネスは結婚して家庭をもち、子どもたちがいることにより、何が一番変わったかと聞いたところ、こんな答えが戻ってきた。
「演奏がうまくいかないときでも、落ち込まずに前向きに考えられるようになりました。これで終わりではない、また頑張ろうという気持ちがもてるようになったのです。家族がいることで視野が広がり、失敗などを突き詰めて考えるより、可能性を考えるようになりました」 
 きっと今日のアンスネスは、そのことば通り、前向きに考えようとしているのではないだろうか。
 アーティストも生身の人間である。いいときもあれば悪いときもある。長年アンスネスの演奏を聴いてきて、私もさまざまなことを学んだ。
 彼はそれでもアンコールを3曲も弾いた。
 ベートーヴェンの「7つのバガテル」より第1番、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第22番より第2楽章、そしてシューベルトの「楽興の時」第6番。
 この最後のシューベルトがすこぶる美しく、主題がいつまでも頭に残った。
 次回はぜひ、以前のような生気にあふれ、北欧の涼風をただよわせるような清涼な演奏を思う存分発揮してほしいと願う。
| クラシックを愛す | 22:48 | - | -
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