Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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メナヘム・プレスラー
 これまで、こんなにも感動したインタビューがあっだたろうか。
 今日は、昨日演奏を聴いて大感激したメナヘム・プレスラーに待望のインタビューを行った。
 ホテルの部屋に着くと、おだやかで人をふんわりと大きく包み込むような笑顔で迎えてくれた。
 もうそのたたずまいに触れただけで、私は特有の空気を感じ取り、しばしことばが出ない。
 すると、名刺を見たプレスラーは、「ほおっ、評論家ねえ。あなた、昨日のリサイタル聴いてくれた? どんな感想かな」と聞いてきた。
 これを機に、私はどれだけ感動したか、いまもまだ余韻に浸っている、どうしたらあんなに心に響く演奏ができるのか、とあれこれ口走ってしまった。
 まず、インタビューは昨日聴いたすばらしいショパンに関することから始めた。そして話題は徐々に広がり、ボザール・トリオ時代のこと、モーツァルトやベートーヴェンの作品論、多くの生徒たちの演奏に関すること、これまで影響を受けた人のこと、レコーディングに関すること、家族のこと、健康に関することなど、多岐にわたった。
 なかでも印象に残ったのは、「コンサートというのは、自分が楽器を弾けるということを証明する場ではなく、音楽への愛情を表現する場だということ」と力説したこと。
 プレスラーは、何度も「音楽への愛情」ということばを口にした。
 昨日のアンコールで演奏されたショパンのノクターン第20番があまりにも美しく、頭から離れないと私がいうと、彼は「おおっ」と感嘆した声を発し、自分がいかにあの作品を愛しているかを説明した。
「ですから、私のノクターンを聴いて涙が出るといってくれたあなたには、私の音楽に対する愛情が十分に伝わったことになりますよ。私がどれだけこの作品を愛し、その思いを込めて演奏しているか。その愛情を聴いてくれる人たちと分かち合いたい、そう思っていつも演奏しているのですから」
 プレスラーのひとことひとことが私の心に響き、話を聞いているだけで、また涙腺がゆるくなりそうだった。
 このインタビューは今月末の「日経新聞」に書く予定にしている。加えて、とても意義深い内容だったため、その全貌をぜひ紹介したいと思い、ヤマハのWEB「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」の連載も考えている。
 彼は、目がよくてメガネはいっさい必要なく、記憶力も完璧。指の動きも問題なしといった。
「年齢を感じるのは、足かなあ。ゆっくりしか歩けないしね」
 趣味は読書だそうだが、それよりも一日中、音楽のことを考えているという。それが一番幸せであり、自分の人生の喜びであり、生きる糧だからと。
 プレスラーは、相手の目をじっと見て話す。その目のなんと優しいことか。演奏と同様、素顔も真摯で純粋でひたむき。
 この様子をどうことばで表現したら、読者に伝わるだろうか。帰りの電車のなかで、私はそればかり考えていた。
 音楽をことばで伝えるのは難しい。それを演奏する人のことばを伝えるのはもっと難しい。ここはひとつ、五感を研ぎ澄まして考えなくちゃ。
 今日の写真は、インタビュー中のプレスラー。ほのぼのとした雰囲気、伝わりますか? また来日の可能性もありそうなので、すっごく楽しみ!!

| アーティスト・クローズアップ | 22:51 | - | -
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