Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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川久保賜紀&江口玲
 最近、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲を演奏するヴァイオリニストが増えている。
 今日は、川久保賜紀がピアノの江口玲と組んで行う「ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会」の第1回を聴きにフィリアホールに出かけた。
 ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは、ピアノが主体ともいうべき作品で、デュオを組むピアニストが非常に重要なウエイトを占める。
 川久保賜紀は、多くのヴァイオリニストとの共演で知られる江口玲をパートナーに選び、両者はみずみずしい音色と前進するエネルギーに満ちた躍動感あふれるベートーヴェンを披露した。
 プログラムは古典的な曲想のなかにベートーヴェンが得意とする変奏曲を盛り込んだ第1番からスタート。次いで多分に地味な作品と見られるが、ベートーヴェンならではのユニークな曲想が全編にあふれる第4番が登場。
 後半は川久保賜紀の息の長いフレーズと流麗な響きが存分に生かされる第5番「春」が明るく豊かな歌心をもって奏され、最後はヴァイオリンとピアノの音の対話が非常に充実している第3番が高らかに演奏された。
 なお、第2回は2015年4月25日(第6番〜第8番)、第3回は2016年4月(第2番、第9番「クロイツェル」、第10番)という予定が組まれている。
 川久保賜紀の演奏は、2002年のチャイコフスキー国際コンクールで最高位入賞を遂げた直後から聴き続けているが、当初から聴き手にゆったりと静かに語りかける音楽が印象的だった。
 この公演プログラムにも原稿を寄せたが、そうした彼女の美質が徐々に変容を遂げ、ベルリンを拠点に各地で演奏し、さまざまな室内楽も経験することにより、演奏に深みが増してきた。
 今日のベートーヴェンも、いまの心身の充実が反映し、説得力のあるベートーヴェンとなっていた。
 江口玲のピアノの雄弁さも特筆すべきだ。今日の楽器は、1887年に製作されたニューヨーク・スタインウェイだそうで、フォルテピアノのような響きをもち、古雅な雰囲気を醸し出し、えもいわれぬ繊細さと気品が感じられた。
 その歴史を映し出すような音色が川久保賜紀の1779年製ジョヴァンニ・バティスタ・グァダニーニの芳醇で艶やかな音色と見事にマッチ。
 こういうデュオを聴いていると、作品が生まれた時代へと自然にいざなわれていくよう。
 18世紀後半の弦楽器と19世紀後半の鍵盤楽器によるベートーヴェンの演奏は、当時のサロンをほうふつとさせる。
 フィリアホールはとても親密的な雰囲気をたたえた会場ゆえ、ヴァイオリンとピアノがとても身近に感じられ、音のひとつひとつが明確に聴こえ、すべての音がストレートに響いてくる。
 国際舞台で活躍するふたりの演奏は、続く2回の演奏に大いに期待をいだかせるものだった。
 今日の写真は、終演後のふたりのリラックスした表情。今後、ふたりでレコーディングをする予定もあるそうだ。今回、聴き逃した人は、ぜひ次回のデュオを聴いてくださいな。次回は作品30の3曲ですよ、お楽しみに!!


 
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