Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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牛田智大
 若手音楽家の演奏は、聴くたびに大きな変容を見せる。
 今日は牛田智大がシュテファン・ヴラダー指揮ウィーン・カンマー・オーケストラと共演して、ショパンのピアノ協奏曲第2番を演奏するコンサートを聴きに東京オペラシティ コンサートホールに出かけた。
 これまで、彼のリサイタルはずっと聴き続けてきたが、コンチェルトを聴いたことはなかったため、非常に楽しみにしていた。
 今夜のコンサート・プログラムにも原稿を寄せたが、牛田智大はこのコンチェルトで、2012年のショパン国際ピアノコンクール ㏌ ASIAで優勝を果たしている。
 さらに同年2月のサントリーホールにおける広上淳一指揮、新日本フィルとの共演でも演奏し、このときにようやく「作品が自分のものになった」と感じたという。
 冒頭から特有の繊細な美音が鳴り響き、ほの暗い表情の第1楽章にみずみずしさを放っていく。ウィーン・カンマー・オーケストラは室内オケの編成ゆえ、そうメンバーが多くはないが、結構ダイナミズムの幅が広く、ときおりピアノの音にかぶってしまう。
 牛田智大が大好きだという第2楽章は、ピアノのモノローグのような抒情的な表現が特徴で、彼は弱音を生かしながらゆったりとしたテンポで弾き進めた。この楽章は、ショパン国際ピアノ・コンクールで何度も耳にしているが、ルバートのあり方、主題のうたわせ方、オーケストラとの音の融合など、非常に難しい楽章である。ここでは、ヴラダーの指揮が際立ち、自身がピアニストであるため、ピアノの美しい主題を前面に押し出すよう、オーケストラの響きを極力抑制し、弦のトレモロも静謐に響かせた。
 第3楽章はピアノとオーケストラが自由闊達な音の対話を行い、活気に満ちたフィナーレへと突入していった。
 終演後、楽屋に牛田くんを訪ねると、いつもながらのにこやかな笑顔でちょっぴり安堵の表情を浮かべていた。
 こうした貴重な経験を積むことにより、若手アーティストは大きな成長を遂げる。彼は今回の全国ツアーで、6回このコンチェルトを演奏する。きっとすべてが終了したとき、ショパンのピアノ協奏曲第2番に対する解釈、表現などに多様な変化が表れているのではなだろうか。
 次回、また話を聞くチャンスがあったら、ぜひそれを聞きたいと思う。
 今日の写真は、まだ演奏の余韻が表情に残っているような牛田くん。本当は、ヴラダーと一緒の写真を撮りたかったが、指揮者は後半の演奏があるため、並んでもらうのは無理だった。残念…。


 
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