Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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マキシム・ヴェンゲーロフ
 昨日は、サントリーホールでマキシム・ヴェンゲーロフのリサイタルが行われた。
 今回の「ヴェンゲーロフ・フェスティバル2014」は、ポーランド室内管弦楽団を弾き振りしたコンサートと、このヴァイオリン・リサイタルが組まれ、いずれも彼が長年弾き込んだ愛奏曲がずらりと並べられた。
 リサイタルの前半は、エルガーのヴァイオリン・ソナタとプロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第1番。後半はトークを交えての小品集となり、午後2時開演のコンサートは4時間半まで続き、最後はスタンディングオベーションとなった。
 私はプログラムに原稿を寄せ、そのなかにも書いたが、ヴェンゲーロフはどんな小品でもまったく手を抜くことなく、完璧に仕上げ、作品のすばらしさ、真の美しさを披露する。
 昨日のリサイタルは、まさにヴェンゲーロフの真骨頂ともいうべき演奏で、常に嬉々とした表情で作品の内奥に深く分け入り、作曲家が作品に託した意図に迫ろうとするものだった。
 音の記憶とは不思議なもので、私の脳裏には初めて聴いたヴェンゲーロフの演奏からイスラエルの自宅で聴いた演奏、さまざまなコンサートで聴いた演奏までもが走馬灯のように現れ、ずっと思い出のなかを旅しているような気分になった。
 もっとも喜ばしいのは、ヴェンゲーロフが実に楽しそうに、充実した表情をしながら演奏していたことだ。盟友のピアニスト、イタマール・ゴランの好サポートを受け、ヴェンゲーロフは以前よりもからだの力が抜け、ボウイングが見事なまでに柔軟性を保ち、弱音の美しさが際立っていた。
 この日の会場には、ヴァイオリンのケースを抱えた若い学生や子どもたちの姿が目立った。彼らはヴェンゲーロフの演奏から学ぶことが多いのだろう。
 終演後、楽屋で会うと、より充実した表情をしていることに感慨を覚えた。「アーティスト・レシピ」の本にサインをしてもらうときも、ヴェンゲーロフのレシピが「ピロシキ」だと知り、「ギャハハーッ」と大笑いしていた。
 こんな笑顔が見られるなんて、数年前は考えられなかった。
 かたわらのオルガ夫人も、父親のアレックも、本当に幸せそうに見えた。
 苦難を乗り越えて、ひとまわりもふたまわりも大きくなったヴェンゲーロフ。巨匠的な演奏は、さらなる高みを目指して成熟していくに違いない。来年もこの時期に来日が予定されているというから、楽しみだ。
 今日の写真は、オルガ夫人とマキシム。彼女が選んだのだろうか、マキシムはとてもおしゃれな装いをしていた。よかった、よかった(笑)。




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