Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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柳澤寿男
 コソボ紛争後、コソボフィルハーモニー交響楽団の首席指揮者に就任し、また、バルカン半島(特に旧ユーゴスラヴィア)の民族共栄を願ってバルカン室内管弦楽団を設立して音楽監督を務める指揮者がいる。
 その名は、柳澤寿男。
 最初はトロンボーンを演奏していたが、1996年にウィーンでウィーン・フィルを指揮する小澤征爾の演奏を聴き、指揮者になりたいと決意。以後、佐渡裕や大野和士に弟子入りし、2000年東京国際音楽コンクール指揮部門で第2位入賞を果たした。
 以来、内外のオーケストラを振ってきたが、縁あって2005年マケドニア旧ユーゴスラヴィア国立歌劇場の首席指揮者に就任。その後、コソボフィルをはじめ、セルビア国立放送交響楽団、ベオグラード国立歌劇場、ベオグラード・シンフォニエッタ、セルビア南部のニーシュ交響楽団などを指揮している。
 今日は、マエストロの自宅に取材に伺い、指揮者になったきっかけ、さまざまな人との出会い、戦禍での演奏活動、バルカン室内管弦楽団と進めている「世界平和コンサートへの道」の歩みなど、いろんな話を聞いた。
 このインタビューは、次号の「音楽の友」に掲載される予定である。
「私はインタビューされるのが苦手で…」
 最初はこんなことばから始まったが、いざ質問が始まると、流れるような口調で自身のこれまでの歩みを語ってくれた。
 なかでも、旧ユーゴを中心とする地域での音楽活動の話には熱がこもり、時間がいくらあってもたりないほどだった。
 柳澤寿男の活動は、これまでテレビやラジオ、雑誌、映画などで数多く取り上げられてきたが、音楽専門誌のインタビューは初めてだという。
 こうした地域では、まだまだ多くの問題を抱えていて、実際の指揮活動は困難を極めるようだが、彼はオーケストラのクウォリティを少しでも向上させたいと熱弁をふるった。
 7月5日には、ボスニア=ヘルツェゴビナ共和国のサラエボ国立劇場でバルカン室内管弦楽団のサラエボ公演を行い、ベートーヴェンの「第九}を演奏するため、もうすぐ日本を発つそうだ。
 同地では、民族の違い、宗教の違い、出身地の違いなどを超え、音楽でひとつになろうとみんなが尽力しているという。日本人の指揮者がその旗手となっているとは、なんとすばらしいことだろう。
 バルカン室内管弦楽団とは録音も行い、ショスタコーヴィチの「室内交響曲〜ファシズムと戦争の犠牲者に捧ぐ ハ短調 作品110a」、バルトークの「ルーマニア民族舞踊曲」、ベチリ(コソボの作曲家)の「スピリット・オブ・トラディションよりインパクト・サヴァイバル・ダンス」を収録した「戦場のタクト」と題したアルバムが8月6日ースされる予定だ(キングレコード)。
 今日は撮影込みで1時間の予定が2時間を超え、充実したひとときを過ごすことができた。同行したカメラマンのIさんもマエストロとは親しく、サラエボには何度も足を運んでいるそうで、話に花が咲いた。ふたりはワールドカップのボスニア=ヘルツェゴビナを応援し、ぜひいい結果を出してほしいと願っているため、テレビ観戦にも力が入るという。
 私の役目は、密度濃い内容をわかりやすく端的に、しかもマエストロの熱い思いをしっかり伝える文章を書くこと。こういうインタビューは、身が引き締まる思いだ。
 今日の写真は、インタビュー後の彼の表情。室内にはさまざまな人との交流を示す写真がたくさん飾られていた。


 
 
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