Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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アリス=紗良・オット&フランチェスコ・トリスターノ 
 昨日は、アリス=紗良・オット&フランチェスコ・トリスターノのピアノ・デュオ・リサイタルを聴きにすみだトリフォニーホールに出かけた。
 ふたりは4年前に出会い、すぐに意気投合。ついにピアノ・デュオを行うまでになった。
 2013年9月にはベルリンで「スキャンダル」(ユニバーサル)と題したCDを録音。そのレコーディングが終わった後の来日時、フランチェスコにインタビューをしたが、アリスはこの録音のなかに収録されているフランチェスコの新作「ア・ソフト・シェル・グルーヴ」の楽譜を見た途端、絶句し、「ええーっ、弾けな〜い!」と絶叫したとか。
 でも、そこは根性のある(?)アリスのこと、譜面をピアノの下にバーッと散らばして、必死に練習したという。
 その曲は、昨日の後半の第1曲目に登場。フランチェスコのいつもの特徴が色濃く表れた曲想で、グルーヴ感あり、ミニマリズムの側面あり、繊細でささやくような旋律が出てきたかと思うと、突然テクノのようなリズムが巻き起こる。本人いわく、「毎回、演奏するごとに変容していく曲」だそうだ。
 コンサートの前半は、フランチェスコの編曲によるラヴェルの「ボレロ」。彼が原曲の小太鼓によって刻まれるリズムを担当し、アリスが旋律を奏でる。フランチェスコはこの「ボレロ」を2台ピアノのために編曲することを以前から夢見ていたようで、ようやく実現した。
 演奏は、冒頭から息の合ったところを見せ、ふたりの静と動のバランスが瞬時に交替していくところが刺激的だった。
 続いてはドビュッシー(ラヴェル編)の「3つのノクターンより」。彼らは微妙な光を表現するように幾重にも陰影を変化させ、アリスのスタインウェイ、フランチェスコのヤマハCFXの音色の違いが前面に現れた。
 前半の最後は、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」。これはまさに若さあふれるエネルギッシュな演奏で、ワルツの旋回がみずみずしい響きで奏され、踊る人々が見えるような視覚的な演奏となった。
 そして後半はフランチェスコの新作に次いで、いよいよこの夜のメイン、ストラヴィンスキーの「春の祭典」が登場。原始的で宗教色が強く、革新性に満ちたこの曲を、ふたりは体当たりで演奏。
「こんなハードなプログラム、若くなくちゃ弾けないよね」
 友人に会ったとき、彼がいったひとこと。まさしくその通り。
 アリスもフランチェスコもデビュー当初からよく話を聞き、演奏も聴き続けているが、本当にいい演奏のパートナーを見つけたものだと思う。
 性格はかなり異なり、演奏もまったく違うものをもっているが、ふたりがともに演奏すると個性の違いが際立ってぶつかりあい、刺激的なデュオが生まれる。各地でのツアーを予定しているそうだから、もっともっとデュオが濃密になっていくに違いない。
 それにしても、ピアニストはいつもひとりで演奏しなければならないから孤独だ、とよくいうけど、アリスとフランチェスコは幸せだ。こんなにすばらしいパートナーを得ることができたのだから…。
 ふたりともすらりとしたモデル体型で、才能と人気と美貌に恵まれている、性格もいいし。う〜ん、神はちょっといろんなものを与えすぎじゃない(笑)。
 今日の写真はプログラムの表紙。ねっ、スタイリッシュでしょ。


 
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