Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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イザベル・ファウスト&アレクサンドル・メルニコフ
 2012年2月17日のブログに書いて以来、2年数か月ぶりにイザベル・ファウストとアレクサンドル・メルニコフのデュオを王子ホールに聴きにいった。
 今日はブラームス・ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会で、第1番から第3番の前に、ディートリヒ/ブラームス/シューマンが合作したF.A.E.ソナタが置かれた。
 これは1853年に完成を見た作品で、友人同志が冗談まじりに書いたものだったようだ。第1楽章はディートリヒ、第2楽章はシューマン、第3楽章はブラームス、第4楽章はシューマンの作曲による。
 ファウストとメルニコフは、以前にも増して息が合い、自由闊達で自然体で生き生きとした演奏を披露。プログラムが進むにつれ、とりわけメルニコフの成長ぶりが強く感じられた。
 彼のピアノはもうかなり前から聴いているが、年々主張が強く、存在感を増し、雄弁になっていく。
 今日のブラームスも、ファウストのヴァイオリンにピッタリと寄り添いながらも、はげしく強く情熱的に楽器を鳴らし、自分の音楽を奏でていた。
 彼の名は、実力の割には広く知られていない。ソリストとしての活動も多く、ショスタコーヴィチなどでも評価が定まっているものの、日本ではまだ知名度がそれほど高くない。
 以前、インタビューしたときにも非常にシャイで、人を押しのけて前に出ることが苦手という感じを受けた。うつむきながらポツポツと暗い表情で話すため、声が非常に聞きとりにくかったことを覚えている。
 しかし、いったんピアノに向かうと、内に秘めた情熱が一気にあふれ出て、とどまるところを知らないという様子だ。
 ファウストのヴァイオリンは古楽奏法も取り入れた、非常に素直で清涼さをみなぎらせた、おだやかさが際立つ。ブラームスの旋律の多様さと深みのある美しさを前面に押し出していく奏法。
 一方、メルニコフのピアノはブラームスの複雑な感情表現を余すところなく表出していく方法で、ときにソロを演奏しているような独創性を見せる。
 こうしてふたりの共演を定期的に聴いていると、デュオがより濃密になり、コミュニケーションの強さが実感できる。
 今日の写真は、プログラムの表紙。お互いに、いいパートナーを見つけたよねえ。ヴァイオリニストは自分に合うピアニストを探すのに苦労している人が多いけど、ファウストはメルニコフと録音でも共演しているし、今後もきっと長く組んでいくに違いないと思わせるほどの相性の良さだった。


 
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