Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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渡辺克也
 昨日は、渋谷区文化総合センター大和田さくらホールに、渡辺克也のオーボエ・リサイタルを聴きにいった。
 先日インタビューしたときにも今回のプログラムに関して詳しく話してくれたが、今回はつい先ごろリリースされた「Romance」(キングインターナショナル)の発売を記念して、CDに収録された作品が組まれている。
 まず、パラディールの「演奏会用独奏曲」がゆったりしたテンポでおだやかに奏され、オーボエの抒情的な音色がホールを満たしていく。
 次いでルフェーヴルの「2つの小品」が演奏され、「アンダンテ」「アレグロ」と題された2曲がテクニック的、表現力ともにコントラストを見せ、この時点ですでに、渡辺克也の職人芸とでもいうべき緻密にコントロールされた音楽に魅了される。
 これら2曲はあまり演奏される機会に恵まれない珍しい作品。渡辺克也はトークも交え、そのなかで曲に出合ったいきさつなどを述べていく。
 前半の最後は、ヒンデミットのオーボエ・ソナタ。この作品になり、一気にテンションが上がり、演奏家魂が込められたとでもいおうか、オーボエの多種多様な響きが横溢し、作品の内奥へと聴き手をいざなった。
 後半は、ようやく録音に着手したと語っていたシューマンの「3つのロマンス」からスタート。まさに長年演奏し続けてきた手の内に入った演奏で、あふれんばかりのエネルギーと情熱と濃密な感情表現がほとばしり、心が高揚する思いにとらわれた。
 ここで、彼は「体力をかなり使ったので、少しだけお休みして、ピアノの小林有沙さんに1曲弾いていただきます」とあいさつ。彼女がリストの「愛の夢」を演奏した。
 実は、小林有沙は2013年12月にシューマンとリストを収録したデビューCDをリリースしているのだが、そのライナーノーツを私が担当している。ナマの演奏を聴くのは初めてで、今回は1曲だったが、ぜひリサイタルを聴きたいと思った。
 そしてプログラムの最後は、プレヴィーユのソナチネ。これもふだんあまり耳にすることができない作品だが、非常に美しい旋律に彩られたエレガントでお洒落な感じがする曲で、フランスの薫り高きエスプリを放っていた。
 終演後、楽屋で小林有沙の両親と妹のヴァイオリニスト、小林美樹に会い、しばし立ち話。お父上から「ヴェンゲーロフの本、読ませていただきました」といわれ、うれしいやら照れくさいやら…。
 今日の写真は、サイン会での渡辺克也と、楽屋での小林有沙。さくらホールは初めて訪れたが、渋谷駅から近く、ホールは室内楽に向いていて聴きやすく、オーボエの響きがごく間近に聴こえる。
 オーボエという楽器は、緊迫感に満ちた音色が特徴だと彼が語っていた通り、リサイタルの最初から最後まで耳を研ぎ澄まして聴き入った。
 私はこういう職人芸が好きで、奏者とともに呼吸をしているような感覚になり、集中力をもって聴くことに喜びを感じる。帰路に着くときには、シューマンの「ロマンス」の主題がずっと脳裏を駆け巡っていた。



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