Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ホジャイノフのリサイタル
 ニコライ・ホジャイノフは、プログラムに非常に凝るアーティストである。インタビューでも、常にプログラムは熟考すると答えている。
 今日のリサイタルは、シューマンの「アラベスク」からスタート。次いでシューマンの「ダヴィッド同盟舞曲集」につなげ、前半の最後はリストの「メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」という構成。
 ホジャイノフは以前から抒情的で繊細で緻密な演奏をするピアニストだったが、それが聴くたびにより大きな特徴となり、今夜もシューマンではロマンあふれる詩的な表現が際立っていた。
 しかし、後半のショパンの「子守歌」とピアノ・ソナタ第3番になると、演奏がやや慎重になり、弱音の美しさを前面に出そうとするあまり、音楽全体がおとなしくなってしまった。
 ここがショパンの難しいところである。2010年のショパン・コンクールのときも、ホジャイノフは本選のコンチェルトになったときに、それまでのみずみずしい鮮烈さを備えた演奏から一転し、おとなしい演奏になってしまったからだ。
 コンクールというのは、とかく派手で音量が大きく、ダイナミックな演奏をする方が目立つ。エレンガントでポエティックで深い思考に根差した演奏というのは、影が薄くなってしまうのである。
 ホジャイノフは、小さなサロンで聴くと、味わい深くていい演奏になるピアニストだと思う。彼の繊細なタッチ、こまやかなリズム、作品の内奥にひたすら迫る洞察力の深さは、現代の広いホールではなかなか本来の美質が発揮できない。
 こういうリサイタルを聴くと、本当にいろんなことを考えさせられる。若手ピアニストが国際舞台で活発な活動を展開するためには何が必要なのか、いかにしたら真の実力が評価されるのか、世に出るためにはコンクール以外の手段はあるのか、海外のアーティストのために日本ができることは何か…。
 そして、いま自分ができることは何か、と考える。
 そうしたことに思いを馳せながら、ホジャイノフの6曲にもおよぶアンコールを聴いた。
 ビゼーの「カルメン」より抜粋、シューマンのリスト編曲による「献呈」、ブラームスの「ハンガリー舞曲」第1番と第5番、ヨハン・シュトラウス2世のオペレッタ「こうもり」より、山田耕筰の「赤とんぼ」というのが、アンコールの曲目。
 ホジャイノフはさまざまな語学に興味をもっていて、日本語にも興味津々。今日のアンコールは、シンプルな日本語で曲目を紹介してから演奏した。
 この公演評は、次号の「モーストリー・クラシック」に書くことになっている。少ない文字数でどう表現したらいいか、じっくり考えなければ…。
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