Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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マレイ・ペライア
 11月13日、サントリーホールでマレイ・ペライア&アカデミー室内管弦楽団(アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)のコンサートを聴いた。
 プログラムは、まずメンデルスゾーンの「弦楽のための交響曲第7番」で始まり、これは指揮者なしのオーケストラのみの演奏。冒頭から美しく鍛え抜かれたアンサンブルが響きわたり、メンデルスゾーンが13歳のときに作曲したというみずみずしく優雅な楽想がホールを幸せ色で包み込んでいく。
 次いでモーツァルトのピアノ協奏曲第21番がペライアの弾き振りで演奏され、この作品を得意とするペライアの抒情的で濃淡に満ちた美しいピアノの音色がたっぷりと披露された。
 彼の弾き振りはごく自然で、気負いもなければ気取りもない。アカデミー室内管の首席客演指揮者を務めているため、気心の知れた友人だちと音楽を心から楽しんでいるという様子が伝わってくる。
 とりわけ第2楽章の天国的な美しさを放つアンダンテが印象深く、ペライアのえもいわれぬポエティックで穏やかな響きが心にまっすぐに響いてきた。
 それは後半のJ.S.バッハのピアノ協奏曲第7番も同様で、ヴァイオリン協奏曲第1番を編曲したという作品らしく、鍵盤のソロは流麗な旋律を奏でる。
 だが、一方では通奏低音のような役割も果たし、それらをペライアは絶妙に弾き分け、バッハの対位法の扱いも緻密に表現。
 ペライアは指の故障でピアノが弾けない状況のときに、バッハの作品を徹底的に研究したと以前語ってくれたが、まさにここではバッハの作品の内奥に迫り、チェンバロ奏法も研究したというすべての要素が遺憾なく発揮された。
 最後は、ハイドンの交響曲第94番「驚愕」。これはペライアが指揮を行ったものだが、彼のピアノを弾くときとはうって変った激しくドラマティックな表現と解釈に驚かされた。まさに「驚愕」である。
 ハイドンのこの作品はときおり大音響のパーカッションなどが飛び出して驚かされるが、ペライアの指揮もその箇所は各楽器に明快な指示を与えて強奏が飛び出した。
 ペライアは、いまもっとも充実したときを迎えているようだ。彼の演奏は長年聴き続けているが、こんなにも肩の力が抜けた自然体の演奏と表情を見たのは久しぶりだった。
 私の大好きなピアニストのひとりとして、いつもペライアは上位にランク。巨匠への階段を上り続けているが、けっして派手ではなく、むしろ奥ゆかしくひっそりとして、音楽に対して常にひたむきで真面目。そこがたまらなく好きなんだよね。いつまでも温かいものが胸に残る、そんなコンサートだった。
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