Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ジャン=フィリップ・コラール 
 アーティストに会うと、意外な素顔がわかることがあって新鮮な驚きを抱く。
 ジャン=フィリップ・コラールも、そのひとり。
 インタビューでは新録音のショパンの「24の前奏曲、ピアノ・ソナタ第2番」(キングインターナショナル)に関して雄弁に話してくれたが、なぜこんなにも長くショパンを録音しなかったかについて、ことばを尽くして語った。
 そのなかで、コラールの性格が垣間見えたのである。
 彼はパリ音楽院時代、だれもがショパンを弾くことに対し、ある種の反発感を抱いたのだという。友人たちが弾くショパンも、自分の考えとは異なるものだった。当時は、音楽院の課題としてショパンが取り上げられたが、どうしても好きになれなかったのだそうだ。
 この話を聞いて、若さゆえの反抗心なのかなと思ったら、それはいまでも続いている自分本来の性格なのだという。納得のいかないことはできない。自分が本当に弾きたいと思わなければ演奏しないという。
 だが、最近になってこれまでショパンの音楽の一面しか見ていなかったことに気づき、楽譜と真摯に向き合うようになった。そしてショパンの性格があまりにも自分に似ていることに驚いたのだという。
「私はとても内向的で、何でもすぐには行動に移せず、考え込んでしまうタイプ。外に出ているよりも、家にいることを好み、社交的ではない。だれとでもすぐに打ち解けることはできず、限られた人との交流だけで満足する。楽譜から読み取るショパンの性格は、とても私が共感できるもの。それがわかったとき、ショパンの作品に親近感が湧き、より深く読み込もうと思ったのです」
 コラールは、演奏中も派手な動きをしたり、余分なことはいっさいしない。ただ、ひたすらピアノと対峙し、作品のよさを伝えようとする。
 このインタビューは、次号の「intoxicate」に掲載予定である。ショパンの話題のみならず、さまざまな作品とのかかわり、音楽に対する自身の思考、演奏家であることの意義、室内楽の喜び、自分の性格との付き合い方、ルバートの在り方など、多くのことを記事に盛り込みたいと思う。
 アーティストは旅から旅の生活である。それが一時期苦痛になったこともあるそうだ。「なにしろ、家にいるのが好きなので」。こういって笑うコラールは、家庭を大切にするタイプのようだ。
 彼はがっしりとした体躯で、手も大きく、指も長い。先日のブログでショパンを弾くときに男性的で凛とした演奏をすると書いたが、ステージに登場する姿も実にカッコいい。シックでおしゃれで風格がある。
 フランスには、こうした洒脱なピアニストが多い。年齢を重ねるごとに、よりいい味を醸し出すようになる。要は、大人の熟成した雰囲気を漂わせるようになるのである。
 またすぐにでも来日してほしいピアニストだ。
 今日の写真は、インタビュー後のワンショット。目がおだやかな笑みをたたえている。




 
 
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