Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

<< ナタリー・シュトゥッツマン | main | ダン・タイ・ソン >>
バイエルン放送交響楽団
「奇跡の共演!!」
 マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団、ソリストにピアノのクリスチャン・ツィメルマンを迎えた2014年11月の来日公演は、チラシにこう記されていた。
 昨夜はそのコンサートがサントリーホールで行われ、前半にブラームスのピアノ協奏曲第1番が演奏された。
 冒頭からツィメルマンの鍛え抜かれ、熟考されたピアニズムが全開。第1楽章のオーケストラのシンフォニックな響きとピアノの輝かしい技巧が見事な融合をなし、ドラマティックで壮大な空気がホール全体を満たしていく。
 第2楽章は深々とした情感豊かな楽章。こうした曲想はツィメルマンの独壇場である。彼はときに祈りの音楽のように瞑想的な表情を見せたかと思うと、一転しておだやかな旋律美を浮き彫りにする。この楽章は、宗教的な美しさをたたえた楽章で、中間部の木管楽器の美しさが際立つ。
 第3楽章は重厚でエネルギーあふれる楽章。ピアノがはなやかに主題をうたい上げ、オーケストラが情熱的に音楽を盛り上げる。最後は長大なコーダとなるが、ツィメルマンは椅子から立ち上がるようにして打鍵し、熱演に幕を下ろした。
 当日は男性の聴衆が多く、「ブラヴォー」の嵐。拍手喝采はいつまでも鳴りやまなかった。
 後半はR.シュトラウスが2曲。交響詩「ドン・ファン」と歌劇「ばらの騎士」組曲というこのオーケストラならではの選曲。
「ドン・ファン」は、シュトラウスの管弦楽法が遺憾なく発揮された作品だが、ヤンソンスは濃厚なロマンを全面に押し出し、各々のエピソードを色鮮やかに描き出していった。
 なんといってもこのオーケストラの底力が発揮されたのは、「ばらの騎士」組曲。官能的で幻想的で夢の世界へといざなわれる楽想を、バイエルン放響は各セクションがあくまでも優美に、生き生きと、そして豊かにうたう響きで奏で、オペラをほうふつとさせる美しい世界を描き出した。
 これを聴き、私の脳裏には1994年3月にウィーン国立歌劇場で聴いたクライバー指揮ウィーン・フィルによる「ばらの騎士」の舞台が鮮やかに蘇ってきた。オッター、ロット、ボニー、モルという当時考えられる最高の歌手たちによって繰り広げられた夢の舞台。それが鮮やかな絵巻物のように現れたのである。
 終演後は、いつまでも夢見心地で、いまなお「ばらの騎士」の旋律があたまのなかをぐるぐる駆け回っている。
 これが「音楽の力」なのだろう。ヤンソンスという名匠が引き出すオーケストラ本来の力。それが名演を生み、感動の泉を満たしてくれた。この公演評は、次号の「公明新聞」に書く予定である。

 
| クラシックを愛す | 22:13 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< May 2017 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE