Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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田中彩子
 コロラトゥーラという声域は、鳥の鳴き声や天使の歌声などを連想させ、人間業とは思えないその高音に、聴き惚れてしまう。
 22歳でベルン州立歌劇場の「フィガロの結婚」でソリスト・デビューを飾り、以来ヨーロッパを中心にオペラとコンサートの両面で活躍している田中彩子は、そんなコロラトゥーラのなかでも特に高い声を得意とするハイコロラトゥーラだ。
 そんな彼女が、「華麗なるコロラトゥーラ」(エイベックス)と題したデビュー・アルバムをリリースした。
 ここにはモーツァルトの「魔笛」より「夜の女王」、ドリーブの「ラクメ」より「鐘の歌」、オッフェンバックの「ホフマン物語」より「生垣に小鳥たちが」をはじめとする超高音を要するアリアがずらりと勢ぞろい。
 ただし、彼女の歌声はすこぶる自然で聴きやすく、作品の内奥へとすんなりといざなわれていく。気負いも気取りもまったくなく、天性の高音が朗々と響きわたる感じだ。
 そのアルバムに関してインタビューを行った。
 実際に話してみると、ヨーロッパのオペラ界で生きていく大変さを背負い、日々さまざまなものと戦っている芯の強さを感じさせる人だった。
 これまでウィーンを中心に活動をしてきたが、オペラの世界で日本人が活動していくのは容易なことではない。彼女自身「私は王道を歩いてきたわけではなく、雑草のような存在ですから」と、こともなげにいう。
 そのたくましさ、根性の強さが、なんとも小気味よい。からだが大きく、声量もすごい人たちのなかにあって、自分の個性、役割、立場、居場所というものをきちんとわきまえている。
 いろんな話を聞くうちに、自然に応援したくなってきた。このインタビューは、「CDジャーナル」に書くことになっている。
 彼女はデビューCDを記念し、3月18日に紀尾井ホールでリサイタルを開く。
「日本の方たちの前でうたう方が緊張するんですよね」
 海外生活の長い田中彩子は、もう外国の聴衆の前でうたうことに慣れていて、そのシビアでストレートな反応にも対処できる。だが、まだ日本の聴衆の前でうたうのは、「怖い」そうだ。
 でも、きっと大丈夫。彼女だったら、歌声そのもので聴き手を即座に魅了してしまうに違いない。なにしろ、みんなが驚嘆するほどの超高音を楽々と自然に出し、役になりきってしまうのだから…。
 私がさらにびっくりしたのは、その食事。2013年の南米公演で絶賛されたのだが、そのときにお肉のおいしさにハマり、以前からお肉大好き人間だったのに拍車がかかり、いまや肉類がないとダメだそうだ。
「牛肉です。塩コショーだけでさっと焼いて、もりもり食べる。これを食べないと、声が出ませんね」
 おおっ、すばらしい。こういう日本人がいたか。彼女の快進撃は、肉食にあったのね(笑)。 
 実は、このインタビューの間、8歳上のお兄さんが付き添っていて、実は彼がマネージャーを引き受けているのだそうだ。彼はほかにも仕事をもっているのだが、ほかならぬ妹のこと、ひと肌脱いだようだ。
 今日の写真は、最初の1枚がインタビュー後の田中彩子。その後、オフレコでいろいろ話しているときに、お兄さんが「私の写真は?」とジョークでいったのを聞き、「それじゃ、一緒に写しちゃいましょう」といってパチリ。これまでマネージャーが私のブログに登場したことはないため、第1号となった。
 田中家は、上のお兄さんも留学し、みんな海外で教育を受けているため、裕福な家系だと思われがちだが、けっしてそうではなく、両親は「大学4年間だけ」という約束で送金。卒業したら、ピタリと送金は止まったそうだ。
「ですから、それから必死で自立するためにうたうところを探しました」
 いやあ、実にいい話を聞きました。これで田中彩子は、強く生きる力が身についたのだろうと納得。ますますたくましくなってね〜。





 
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