Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ホテルの朝食
 旅に出ると、ホテルの朝食がいつも同じようなメニューゆえ、長逗留の場合は飽きてくることが多い。
 私はパリやニューヨークでは、ホテルで朝食をとらず、町のカフェやデリに出かけていって現地の人に交じって食べるのが好きだ。
 その町の様子がわかるし、人々の生活を垣間見ることもでき、何より好きな物が安く食べられる。
 旅先での朝食の時間というのは、独特の空気と匂いに包まれている。パリでは清掃車が回ってきて道路を掃除し、ウィーンでは馬車がひづめの音を立てて出勤していく。マドリードでは陽光がまぶしくなり、商店の開店準備がそろそろ始まる。ミュンヘンではビジネスマンが足早に通り過ぎ、ハンブルクはまだ真っ暗だ。
 そんなあわただしい時間に、外をながめながらゆっくりいただく朝食は、何ものにも代えがたい。ランチやディナーも、もちろん記憶に残るものが多いが、旅先での朝食は、ある種のノスタルジックな感情を呼び覚ます。
 あとになって思い出してみると、そのときの空気と匂いが町の記憶とともに蘇ってくるのである。
 私が初めてヨーロッパに旅をした20代のころ、ローマの家族経営のホテルの朝食は、古めかしい地下のダイニングでとることになっていた。そこは昔の映画に出てくるようなアンティークな家具と調度品に囲まれた部屋で、ティーカップやお皿も実に味わい深く、使い込まれたものだった。
 数日間滞在していたため、ホテルの人たちとても親しくなり、朝食のときはいつもあれこれおしゃべりしたものだ。
 そのホテルの前をずっとのちになって通ったら、そのときの朝食の様子が鮮やかな絵のように目の前に蘇ってきた。
 こうして旅の記憶は刻まれていく。
 今日の写真は、先日のウィーン出張のときのホテルの朝食。いろんなものがたくさん用意されていたため、毎日飽きることがなかった。この日はクロワッサンをいただいたが、もちろん大好きなツェンメルも美味だった。
 ああ、パンの香りがただよってきたゾ(笑)。
 

 
 
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