Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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アレクサンダー・ガヴリリュク
 ロシアからは次々にすばらしい才能が世に送り出されるが、1984年生まれのアレクサンダー・ガヴリリュクも、そのひとり。
 今日は東京オペラシティコンサートホールにガヴリリュクのリサイタルを聴きにいった。
 彼は1999年第3回ホロヴィッツ記念国際ピアノコンクール、2000年浜松国際ピアノコンクール、2005年ルービンシュタイン国際ピアノコンクールで第1位を獲得している。
 今日のプログラムはまず、モーツァルトの「ロンド ニ長調」から始まり、ブラームスの「パガニーニの主題による変奏曲」へとつなげた。クリアで芯のある音色がホールを満たし、ブラームスでは長大な作品を持ち前のテクニックと、絵巻物を繰り広げるような鮮やかな表現力で存在感を放った。
 後半がとてもユニークな選曲。リストの「メフィスト・ワルツ」第1番、「コンソレーション」第3番、ワーグナー/リストの「イゾルデの愛の死」、リスト/ホロヴィッツ「ラコッツィ行進曲」、サン=サーン/リスト/ホロヴィッツ「死の舞踏」、そして最後にリストの「タランテラ」が演奏された。
 いずれも超絶技巧がちりばめられた難曲ばかりだが、目の覚めるような技巧を発揮し、しかもけっして鍵盤をたたかず、深々とした打鍵を存分に披露した。
 ガヴリリュクのピアノは、明朗で温かく、躍動感にあふれている。リストをバリバリ弾くと、そのテクニックだけに目が奪われがちだが、彼の演奏はストーリー性があり、創造性に富む。
 目いっぱい楽しませてくれたのに、アンコールが止まらなくなり、5曲も登場。なかでも、ショパンの「ノクターン」第8番が美しく静謐な響きで、強い印象をもたらした。
 この公演評は、次号の「モーストリー・モーツァルト」に書く予定になっている。
 いまどき、ピアニストがリサイタルをするとき、燕尾服を着る人は少ないが、ガヴリリュクはきちんと燕尾服を着て、上半身がまったく揺らがない美しい姿勢でピアノに向かう。演奏もそうだが、まさに王道をいく。
 聴くたびに大きな飛躍を遂げ、成長した演奏を聴かせてくれるガヴリリュク。浜松コンクールのときに、審査員から「20世紀後半最高の16歳」といわれた彼は、いま30歳を過ぎ、安定感が増した。また次回の来日が楽しみである。
 今日の写真は、演奏会のチラシ。前回の来日時より、だいぶ貫禄がついた。


 
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