Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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舘野泉
 今日は、東京オペラシティコンサートホールで13時30分から舘野泉「奇跡の左手」と題したリサイタルが行われた。
 舘野泉とは、「ショパン」時代からの長いおつきあい。以前、私が仕事の人間関係で非常に落ち込んでいたとき、たまたまある雑誌の対談相手に私を指名してくれ、おだやかな表情で話をしてくれるのを聞き、悩みがスーッと消えていくような感覚にとらわれた。
 舘野泉と話すと、いつも心が自然に落ち着き、本来の自分を取り戻すことができる。もちろん、演奏も同様で、今日の左手の演奏も、胸の奥に深く浸透してくるピアノだった。
 舘野泉が脳出血に倒れたのは2002年1月。右半身不随となるが、不屈の精神で2年後に「左手のピアニスト」として復帰した。その後、世界各地の作曲家から左手のための作品が数多く寄せられ、委嘱作品も増え、各地で初演を行ってきた。
 舘野泉は、「左手だけの演奏でもなにひとつ不自由はない。要は音楽そのものを弾いているのだから」と語る。病の暗い闇のなかから希望の世界へと導いてくれたのは、音楽だからと。
 いまは、左手のための委嘱作品を充実させることを第一の目的とした「左手の文庫(募金)」を設立。これは文化・社会貢献を担い、将来は舘野泉の意思により、ハンデをもつ音楽家の支援に役立てることを目指している。
 今日は、リサイタルの後、16時すぎからこの文庫に関する記者会見が行われた。
 舘野泉のために書かれた作品(2004〜2014)は66作品にのぼり、助成作品は36作品になるという。ピアノ・ソロ、3手連弾作品、ピアノとヴァイオリン作品、ピアノとチェロ作品、ピアノとクラリネット作品、そのほかの室内楽、ピアノとオーケストラ作品、編曲作品が含まれる。
 現在78歳だが、2016年には80歳記念としてのコンサートが組まれ、そこでは4曲のピアノ協奏曲が演奏される予定。
 池辺晋一郎の「西風に寄せて」、ヒンデミットの「ピアノとオーケストラのための音楽」日本初演、ウィーン・フィルのヴァイオリニストで作曲家のルネ・シュタールのピアノ協奏曲、そしてラヴェルの「左手のための協奏曲」というラインナップだ。
 今後もスケジュールはいっぱいで、練習しなくてはならない作品が山積みとのこと。しかし、そういう話をするときも、ゆったりペースでおだやかで自然体。あくまでも自分のスタイルを崩さない。
 
 この「左手の文庫(募金)」は、だれでも募金活動に参加できる。
口座名:左手の文庫募金 代表 舘野泉
銀行:三菱東京UFJ銀行
支店名:渋谷明治通支店 口座種別:普通
口座番号:3440111

事務局 ジャパン・アーツ内 03-3797-7698

 今日の写真は、記者会見の席上での舘野泉。楽譜をたくさん抱えている。多くの聴き手の心を癒し、勇気を与え、前に進力を与えてくれるそのピアニズム。隣は作曲家の吉松隆。今日のリサイタルのアンコールには吉松隆編曲によるカッチーニの「アヴェ・マリア」が演奏され、会場の涙を誘った。
 シューベルトの「アヴェ・マリア」とシベリウスの「フィンランディア」の吉松隆編曲版もあるそうだが、この2曲は館野泉自身が弾いていて泣けてしまうため、まだ演奏できないという。だが、もうすぐステージに登場するだろうとのこと。私たちは、それが演奏されたとき、涙をこらえることはできるのだろうか…。





 
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