Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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マレック・シュパキエヴィッチ
 今夜、チェロ好きの私は、王子ホールにマレック・シュパキエヴィッチの演奏を聴きにいった。
 シュパキエヴィッチはポーランド出身で、現在はロサンゼルス在住。生地で教育を受けた後、アメリカに渡り、数々の国際コンクールで優勝、入賞を果たした。
 現在はカリフォルニアのアズサ・パシフィック大学音楽学部で教鞭をとり、室内楽のディレクターを務めている。2008年には、アメリカ政府から永住権を授与された。
 今日のプログラムは、まずドヴォルザークの「スラヴ舞曲ホ短調作品72-2」が演奏されたが、これは長年シュパキエヴッチが編曲したいと願っていた作品。今回は、スラヴ民族音楽の哀感あふれる旋律を生かしながら、チェロを豊かにうたわせるアレンジを披露した。
 2曲目はポーランド人ならではのショパンのチェロ・ソナタ ト短調作品65。ピアノのジアイ・シーとともにショパンの名技性あふれる作品をロマンあふれる響きで聴かせ、ときに両楽器がはげしい音の対話を見せながら、スリリングなフィナーレへと突入した。
 後半は、シュパキエヴィッチが作曲者の精神に深い共感を得るという、ショスタコーヴィチのチェロ・ソナタ ニ短調作品40が演奏された。これこそ、チェロが慟哭の調べを奏でる作品。ショスタコーヴィチ独自の世界へと聴き手をいざない、作曲家が置かれていた辛い状況を浮き彫りにした。
 最後は、打って変わってピアソラの「グラン・タンゴ」が登場。シュパキエヴィッチの哀愁ただよう音色は一変し、躍動感あふれるタンゴのリズムがホール全体を満たした。
 今日は、東日本大震災の被災地で生まれ育った木材で中澤宗幸氏が製作したチェロが、アンコールなどで奏された。これは世界中の1000人の演奏家が、奇跡の一本松や大切な思い出のつまった家屋の床柱や梁で製作されたヴァイオリン、ヴィオラ、チェロをリレーのように奏でていくプロジェクトの一環。「千の音色でつなぐ絆」と題されている。
 シュパキエヴィッチは、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」などでその楽器を演奏し、絆の一翼を担った。
 今日の写真は、終演後のシュパキエヴィッチ。彼を知る全員が口をそろえて「マレックはすごくいい性格の持ち主」というが、その笑顔が性格のよさを物語っている。演奏もとても温かい音色で、その奥にえもいわれぬ哀愁の表情が潜む。



 今日はCDもいただいたが、これはショパンのチェロ・ソナタとブロッホの「ヘブライ狂詩曲《シェロモ》」が収録されているものである。


 
| アーティスト・クローズアップ | 22:19 | - | -
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