Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ヴィットリオ・グリゴーロ
 テノールのリサイタルというのは、会場が熱く燃える。
 今日は、東京オペラシティコンサートホールで、ヴィットリオ・グリゴーロのリサイタルが行われたが、フィナーレに近づくにつれ、ヴィットリオの声も絶好調となり、聴衆もヒートアップ、最後はスタンディングオベーションとなった。
 プログラムは、ベッリーニやロッシーニ、ドニゼッティ、ヴェルディの歌曲やオペラ・アリアが前半に組まれ、ここでは正統的で古典的な歌唱法が披露された。服装は、ピアニストのヴィンチェンツォ・スカレーラとともに燕尾服である。
 後半になると、タキシードに着替え、トスティから始まり、ガスタルドン、レオンカヴァッロ、クルティス、ダンニバーレなどの歌曲が次々にうたわれた。
 ヴィットリオの声は、感情の起伏を明快に表現し、歌詞に寄り添い、オペラ・アリアではその役柄になりきる。
 ひとり芝居のように饒舌で情熱的で、ここに演技力が加わり、聴衆を引き付ける。
 時折、コミカルな表現を見せて笑いを誘うかと思うと、サッカー選手のようにかろやかに走り回って若々しい様相を示す。
 聴き込むほどに、彼のオペラを聴きたくなった。ピアノとの共演でこれだけリアルな演技と歌唱法が全開するのだから、オペラになったらさぞかしインパクトが強いに違いない。
 先日のインタビューで、近いうちにコヴェントガーデンにおいてアントニオ・パッパーノ指揮で「ウェルテル」をうたうといっていたが、それを聴きたい気持ちが募ってきた。
 彼の声は、やはり幼いころからバチカンのシスティーナ礼拝堂合唱団でうたってきたためか、宗教曲の美しさが宿る。アンコールにうたわれたシューベルトの「アヴェ・マリア」にそれが如実に現れていた。
 こういう演奏会は、プログラムが終了し、アンコールになると、より熱気を帯びてくる。
 今日もドニゼッティの「愛の妙薬」から「人知れぬ涙」、プッチーニの「トスカ」から「星は光りぬ」と続いたころ、声が最高潮に達し、会場は嵐のような拍手が巻き起こった。この段階でジャケットを脱ぎ捨て、蝶ネクタイをはずし、白いシャツ姿になって、曲に没入した。
 私の後方からは男性が何人も、「ヴィットーリオ〜、オー・ソレ・ミーオ!!」と叫んでいる。
 彼は耳に手をあて、もう一度スカレーラと相談。最後にカプアの「オー・ソレ・ミオ」をうたってくれた。
 もう、みんな大満足だ。
 ヴィットリオは舞台上に飾ってあった花を1本1本抜いて投げるわ、ひざまづいておじぎをするわ、投げキスをするわ、サッカー選手のようにひざをついてダーッとスライディングするわ、ものすごいサービス精神を発揮。
 この後、サイン会が行われた。何百人、並んだだろうか。いやあ、すごい日でした。
 やはり濃いですなあ。帰宅してからも、歌声がぐるぐる脳を駆け巡っているもの。
 4月10日にも、もう一度リサイタルがある。聴衆を元気にしてくれるテノール、ぜひ聴いてくださいな。心身が活性化しますよ。
 でも、本音をいうと、フランス・オペラのアリアが聴きたかった。新譜のマスネやグノーにすっかり魅了されてしまったので…。
 ロンドンに聴きにいかないと無理かな。いやあ、それもなかなか難しいし、といいながら、世界のオペラハウスのスケジュールを調べるワタシ(笑)。
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