Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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チョン・キョンファ
 1月末にソウルでインタビューしたチョン・キョンファが、この4月に来日公演を行い、今日はサントリーホールで最終公演があった。
 プログラムは、ピアノのケヴィン・ケナーとようやく作り上げることができたというベートーヴェン・プロ。前半がヴァイオリン・ソナタ第5番「春」と第7番で、後半にウェーベルンの「ヴァイオリンとピアノのための4つの小品」を入れ、最後はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」で締めるという構成である。
 取材記事にも、インタビュー記事にも、さまざまなところで綴ったことだが、チョン・キョンファの演奏は、ケガを乗り越えて復活してから大きな変貌を遂げた。以前は野生動物のような俊敏性と挑みかかるような凄みを見せる演奏だったが、現在はよりヒューマンな色合いが濃くなり、ピアニストとの協調性を大切にしている。
 彼女はこのベートーヴェン・プロをケナーと集中的に練習し、日本公演に備えていると語っていた。
 実は、彼らはこのプログラムをまず日本公演で披露し、これから各地で演奏にかけていく。秋にはヨーロッパ公演も控えているという。
 キョンファの演奏は確かに変容し、音色も作品に対する取り組みも、異なっていた。だが、驚異的な集中力と、作品の内奥にひたすら迫っていく奏法に変わりはなく、とりわけ各曲の緩徐楽章が心に染み入る美しさに彩られていた。
 彼女はインタビューのときに、「ヴァイオリンとピアノのデュオは、両楽器が完全にひとつの“声”にならないといい演奏は生まれません」と語っていたが、まさにケナーとの音の融合を目指し、ふたりの思いがひとつになるよう、濃密な音の対話を繰り広げた。
 終演後、楽屋を訪ねると、日本ツアーがようやく終わり、かなり疲労している様子だった。明日日本を発ち、その後ソウルで2公演あるそうだ。それゆえ、まだ彼女は緊張が続いている様子だった。
 今日の写真は、楽屋でひと休みするキョンファ。ただし、外にはサインを求めるファンの長い列ができていた。大変だろうけど、いま再び演奏できることがたまらなくうれしいといっていたから、ひとりずつていねいにサインをしてくれるのではないだろうか。そしてもう1枚は、プログラムの表紙。
 またそんなに時間を置かずに、ぜひ来日してほしいと願う。胸の奥にずっしりとした深い印象をもたらしてくれる演奏だから…。




 
 
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