Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ジャンルカ・カシオーリ
 ピアニストのジャンルカ・カシオーリが現在来日中で、ヴァイオリニストの庄司紗矢香とのデュオを行い(5月23日〜6月9日全国9公演)、自身のリサイタルも予定している(6月12日、紀尾井ホール)。
 そこで、「インタビュー・アーカイヴ」の第61回はカシオーリを取り上げたい。彼に初めてインタビューしたのは1997年、18歳のときだった。ドイツ・グラモフォンから「カシオーリ・デビュー!」「アンコール!!」というアルバムがリリースされた直後のことだった。

[FM fan 1997年11月3日〜16日 No,24]

ベートーヴェンは、人間の喜怒哀楽をもっとも直接的かつ包括的に作品に投影させた最初の作曲家だと思う

 マウリツィオ・ポリーニに続けとばかりに、イタリアから新星が登場した。1994年にミラノで第1回が行われたウンベルト・ミケーリ国際ピアノ・コンクールの覇者、ジャンルカ・カシオーリだ。
 彼はコンクール当時15歳。このコンクールはベートーヴェンと現代作品が2大柱となっており、審査員にはポリーニや作曲家のルチアーノ・ベリオらが顔をそろえ、ピエール・ブーレーズの新曲「ピアノのためのアンシーズ」が課題曲として含まれている。
「ぼくにとっては優勝することよりもポリーニに聴いてもらえる、そのことの方が大事だった。でも、優勝者はドイツ・グラモフォンに録音できると聞いていたので、これも大きな魅力だったことは確か。ただし、ブーレーズの曲はコンクール直前にようやく楽譜が仕上がったため、時間との戦いで大変だったよ」
 それにもかかわらず、この演奏は絶賛された。審査員は絶対音感をもち、初演演奏に優れ、技術的な困難なしに作品をどんな調にも容易に移調し、すぐに演奏できるカシオーリの才能を高く評価したといわれている。
「小さいころから、作曲らしきものをいつもしていたからだよ。ショパンを弾くとショパンのまねをして曲を作り、モーツァルトを勉強するとそれっぽい曲を作って遊んでいたんだ」
 カシオーリは、イタリアンらしく陽気な性格。シリアスな話でも途中からコメディのような様相を呈し、最後は大笑いになってしまう。
「でも、演奏はちゃんとやっているよ。録音もおもしろくて、もっとやってみたいと思ったし、今夏のザルツブルク音楽祭に参加したんだけど、すごく楽しめた。ぼくはピアノを弾くのを仕事と思っていないんだ。喜びというか、生きがいというふうに感じている。だって、大勢の前で弾くのって、すごく楽しいんだもん」
 8歳から自分の意志でピアノを始めたカシオーリは、現在18歳。たった10年でここまできてしまった。音楽を常に楽しみながら。
「ベートーヴェンは昔からぼくのあこがれ。一番心に近い音楽なんだ。ベートーヴェンは人間の喜怒哀楽の感情をもっとも直接的に包括的に作品に投影させた最初の作曲家だと思う。ベートーヴェンを弾いていると、ああ、ピアニストになってよかったって思う。すばらしいピアノ・ソナタをたくさん書いてくれたから。コンチェルトもね。それらをもっと深く勉強したい。20世紀の作品も大好きだから、レパートリーを広げたいし。でも、まだ学生だから、学校の勉強もたくさんあるんだよね。まあ、こっちも楽しみながらやるよ(笑)」

 あれからはや18年。いまや中堅の実力派に成長したカシオーリ。演奏の根幹に流れるものはまったく変わっておらず、顔もあまり変わっていない。
 デュオが終了してから庄司紗矢香とのサイン会では、彼女がさっと素早くサインをするのに対し、「ジャンルカ・カシオーリ」ときちんと書く彼は、とても時間がかかる。それゆえ、サインの列は長いまま。
 この性格の違いが、音楽面での個性の違い、音の対話のぶつかり合いを生み、ユニークなデュオが生まれる。今回は、どんな演奏が披露されるだろうか…。
 今日の写真は、その雑誌の一部。ホント、この顔の表情、いまも変わっていないよねえ。


 
| インタビュー・アーカイヴ | 17:51 | - | -
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