Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ばらの騎士
 R.シュトラウスの「ばらの騎士」は、大人のオペラである。音楽は官能的で幻想的で、天上の世界へといざなわれる。
 特に、第3幕の最後のオクタヴィアンとゾフィーの愛の二重唱は、えもいわれぬ美しさで、至福の時間を与えてくれる。
 今日は、新国立劇場で行われているシュテファン・ショルテス指揮、ジョナサン・ミラー演出の2007年6月6日にプレミエを迎えたプロダクションの再演を聴きにいった。
 今回は、元帥夫人にこの役を得意としているドイツのアンネ・シュヴァーネヴィルムスを起用、彼女は年齢を意識し、時代の変化を敏感に感じ取る大人の女性を見事にうたい、演じきった。とりわけラストシーンでは貫禄を見せ、潔い女性を堂々と表現し、歌唱も印象に残った。
 私が大好きな役柄、オクタヴィアンはウィーン出身のステファニー・アタナソフ。小柄でスリムな体躯の持ち主で、17歳という設定にふさわしいみずみずしさ。これにドイツの大柄なユルゲン・リンのオックス男爵と、同じくドイツのアンケ・ブリーゲルのゾフィー役が加わり、4人の主役がそれぞれ役になりきった集中力に満ちた歌声を披露した。
 この「ばらの騎士」は5日間の公演があり、今日は中日。あとは6月2日と4日の2日間の公演が予定されている。
「ばらの騎士」は、上演後、とても幸せな気持ちに満たされるオペラだ。18世紀のウィーンの貴族社会を描いているが、今回の演出は初演から1年後の1912年に設定しているとのこと。ふたつの世界大戦が間近に迫り、貴族社会が崩壊していく予兆を感じさせる時代である。
 元帥夫人は、自身の年齢のみならず、世界全体の時代の変化を肌で感じ取り、静かに舞台を去っていくと演出家は述べている。
 さまざまな意味で内容の深いオペラであるが、それを包み込む圧倒的な美質に貫かれた音楽は、すべてを忘れさせてくれる強烈な力を有している。
 今日の写真は、プログラムの表紙。このシーン、本当に印象的だ。
 ああ、いまでも序曲やワルツやいろんなアリアが脳裏に蘇り、つい口ずさんでしまう。やっぱりR.シュトラウスは偉大だ。

| クラシックを愛す | 22:50 | - | -
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