Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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アンティ・シーララ
 こんなピアノが聴きたかった。そんな思いが演奏の間中ずっと胸の奥にただよい、目を閉じて音楽のなかにどっぷりと浸ることができた。
 昨日は浜離宮朝日ホールで、久しぶりにアンティ・シーララのリサイタルを聴き、心の底から「ああ、いいピアニストになったなあ」と感じた。シーララのピアノは、芯のある音だが、決して鍵盤をたたかず、深々とした響きが心にゆっくり浸透してくる。
 プログラムは前半がシューマンの「ダヴィッド同盟舞曲集」、後半がベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番とスクリャービンのピアノ・ソナタ第10番。
 シューマンの18曲をそれぞれの物語性を浮き彫りに、ときに柔軟性をもつかろやかでやわらかな音色を駆使し、またあるときは生命力を放つエネルギー全開のピアニズムを発揮、さらに曲が内包するユーモアと遊びの精神が随所に顔をのぞかせる。
 この時点で、大きな成長を遂げたシーララの実力を感じ取ることができた。
 以前、インタビューをしたのは2008年初頭のこと。彼は1979年ヘルシンキ生まれ。ウィーン・ベートーヴェン国際コンクール、ロンドン国際ピアノコンクール、ダブリン国際ピアノコンクール、リーズ国際ピアノコンクールのすべてに優勝し、国際舞台に躍り出た俊英だった。
 あれからずいぶん年月が経ったが、シーララは着実に実力派として幅広い活動を展開、2013年よりゲルハルト・オピッツの後任として、ミュンヘン音楽大学の教授に就任している。
 もっとも得意とするのはベートーヴェンで、今回もソナタ第31番で存在感と説得力のある、まさに王道をいく演奏を聴かせ、至福の時間を与えてくれた。
 新譜もベートーヴェンのピアノ・ソナタ第30番、第31番、第32番で、清涼感あふれる音色で洞察力に富むベートーヴェンを聴かせている(キングインターナショナル)。
 明日は、7年ぶりのインタビューを行う予定である。いまや実力派として世界各地で演奏し、教授ともなったシーララ、どんな話を聞かせてくれるだろうか。
 今日の写真は、リサイタルのプログラムの表紙。7年前と、あまり変わらない風貌だ。男性にこういう表現は適さないかもしれないが、ちょっとキュートなんだよね。

| クラシックを愛す | 21:43 | - | -
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