Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声
 映画にクラシック音楽が使用される場合、そのプログラムやパンフレット、マスコミ用資料などに原稿を寄せることがある。
 今回は、9月11日に全国ロードショーとなる「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」の劇場公開用パンフレットの原稿を書いた。
 これはきびしいオーディションで主役をつかんだギャレット・ウェアリングが長編映画初出演となる作品で、美しいボーイ・ソプラノを聴かせている。
 彼が演じるのは、複雑な家庭環境に育った12歳の少年ステット。類まれなる美しい声に恵まれているが、投げやりな人生を送っていて、その才能を伸ばそうと努力しない。しかし、アメリカを代表する国立少年合唱団のオーディションを受けて入団したことから、人生が変わっていく。
 この合唱団の厳格な指導者を演じているのが、ダスティン・ホフマン。彼が演じるカーヴェルは、自身が音楽家としての才能を伸ばすことができず、指導者になったわけだが、神から美声を与えられているにもかかわらずそれを伸ばそうとしないステットにきびしくあたる。
 ここでは、ヘンデルやフォーレ、ブリテンなどの宗教曲やクリスマスキャロルが多数うたわれ、合唱団が日本ツアーにいくというシーンでは日本のわらべ歌「ほたるこい」も登場する。
 監督は、「グレン・グールドをめぐる32章」「レッド・バイオリン」などでおなじみのフランソワ・ジラール。キャシー・ベイツ、デブラ・ウィンガー、ジョシュ・ルーカスら名優が顔をそろえている。
 ステットは、保守的な先生たちと合わなかったり、少年たちの嫉妬やいじめに遭ったり、父親に実子とは認めてもらえなかったり、さまざまな苦難に遭遇するが、最後は彼の天使のような純粋無垢な歌声がすべてのことを洗い流し、輝かしいステージで燦然と輝く。そしてずっと切望していた「家族」を手に入れる。
 ボーイ・ソプラノという声域は、美しい声を与えられた才能のある少年が、ほんのひとときだけ発揮することができる稀有な歌声。幻想的で繊細で情感あふれる歌声は、聴き手の心に深く浸透し、夢を見させてくれる。
 ステットは苦難を乗り越え、ひたすら努力し、栄光をつかんだ。哀愁に満ち、孤独の影をただよわせるギャレット・ウェアリングが、見事な歌と演技を披露し、ステット役を好演している。
 今日の写真は、映画のチラシ。すばらしい歌声をぜひ聴いてほしい。


 
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