Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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アルテミス・カルテット
 7月20日のブログで、アルテミス・カルテットのヴィオラ奏者、フリーデマン・ヴァイグルが急逝したことを書いたが、彼が参加した最後の録音、ブラームスの弦楽四重奏曲第1番と第3番(ワーナー)は、本当に心に残る演奏となっている。 
 第1番はブラームスならではの厳粛さと渋さが共存し、緻密に練り上げられた弦4本の響きが印象的である。特にヴィオラとチェロの重厚な味わいが耳に残る。第3番は打って変わって明朗で自由闊達、親しみやすい旋律に彩られ、ロマンあふれる情緒が全編を貫いている。それらをアルテミス・カルテットはブラームスの神髄に迫る迫力と、巧みな奏法を披露し、ハンガリー的な味わいをも大切に緊密なアンサンブルを聴かせている。
 フリーデマン・ヴァイグルの訃報は、7月7日アルテミス・カルテットのメンバーによって発表された。享年52。常に右側で長い黒髪を揺らしながら凛とした演奏を響かせていたヴァイグルは、病気のため帰らぬ人となった。
 フリーデマン・ヴァイグルは1962年ベルリンに生まれた。指揮者セバスティアンは実兄である。6歳でヴァイオリンを始め、ベルリン・ハンス・アイスラー音楽院でヴィオラを学び、国際コンクール入賞を経て1979年にベーターゼン・カルテットを結成した。その後、ベルリン・ドイツ交響楽団のヴィオラ奏者を務め、2007年にアルテミス・カルテットのメンバーとなる。各地の音楽院で教鞭も執り、後進の指導にも尽力した。
 昨年のインタビューでは、ヴィオラのヴァイグルを評して他のメンバーがこう語っていたことが印象に残っている。
「フリーデマンは全員のエンジン役で、あらゆる方向に向けて視野を広く保ち、常に上を目指していくんだよ」と。
 今回のブラームスでも内声に注意深く耳を傾けると、ヴィオラの知性的で構成力を大切に、ヴァイオリンとチェロの架け橋となるべく巧みなバランスを保つ音色が明確に聴こえてくる。そのヴィオラは、ヴァイグルの渾身の音でもあり、魂の響きでもある。
 とりわけ第3番の第3楽章は、ブラームスがヴィオラを主役に仕立てて作曲した作品。その愛らしい旋律と情感豊かな響きは心に深く刻み込まれる。
 今日の写真は、ブラームスの新譜のジャケット写真の表と裏。いつも右端にいるのがヴァイグルだ。




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