Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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辻井伸行×三浦文彰 究極の協奏曲コンサート
 実力と人気を兼ね備えた若手演奏家、辻井伸行と三浦文彰のソロとコンチェルトのコンサートが、2月16日から28日まで全国で10公演組まれている。
 題して「辻井伸行×三浦文彰 究極の協奏曲コンサート」。
 昨日は、Bunkamuraオーチャードホールに東京公演の2日目の演奏を聴きにいった。
 前半は、三浦文彰のマスネ「タイスの瞑想曲」とチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」。後半は、辻井伸行のラフマニノフ・プロで、「前奏曲作品32-12」と「パガニーニの主題による狂詩曲作品43-第18変奏」とピアノ協奏曲第3番。共演はクリストファー・ウォーレン=グリーン指揮読売日本交響楽団である。
 三浦文彰は1748年製J.B.Guadagniniを情感豊かにたっぷりとうたわせ、特有の柔軟性に満ちた美音を披露した。
 彼はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲をこれまで数えきれないほど演奏している。以前、インタビューでは、この作品についてこう語っていた。
「チャイコフスキーのこの曲は昔からもっとも好きなコンチェルトで、14歳ころから始めました。ぼくはピンカス・ズーカーマンとはすごく仲がよく、彼からいろんなことを学んでいます。公私ともども、あらゆることを相談し、もう養子になったような気分ですね(笑)。ピンカスからは、このコンチェルトをオーケストラとのアンサンブルを大切に、室内楽のように演奏するようにというアドヴァイスを受けています。チャイコフスキーは、ぼくにとって一番弾き心地がいいというコンチェルトなんですよ」
 みずみずしくのびやかな彼のヴァイオリンは、オーケストラと濃密な対話を繰り広げ、第1楽章はロシアの広大な大地を思わせる雄大さを表現。第2楽章はロシアの抒情美を紡ぎ出し、第3楽章ではロシアの民族舞踊を思わせる急速なリズムが爽快感を醸し出した。
 私は以前にも書いたが、「タイスの瞑想曲」を聴くと、マキシム・ヴェンゲーロフの本を書くためにイスラエルの彼の家に10日間ホームステイしたときのことを思い出す。撮影のためにヴェンゲーロフが弾いてくれた「タイスの瞑想曲」は、野太く情熱的で官能性にあふれていた。この曲を聴くと、瞬時にあのときのことが脳裏に蘇ってきて、感慨に浸ることになる。
 後半は、辻井伸行の独壇場。彼はラフマニノフをこよなく愛し、手の内に入れ、演奏するたびに新たな表現を加えている。
 とりわけ、ピアノ協奏曲第3番のクライマックスに突き進んでいくところが手に汗握る迫力だった。
 鳴りやまぬ拍手に応えて、アンコールにはふたりが登場。ガーシュウィンの「プレリュード第3番」が始まった。ノリがよく、リズミカルで、しかも両者の特質が明確に表れている。
 終演後、楽屋で三浦文彰がいった。
「このガーシュウィン、次第に合うようになってきたんですよ。今日は合っていましたか? ああ、よかった」
 辻井伸行も、大好きなラフマニノフを存分に演奏でき、喜びの表情をのぞかせていた。
 ぐんぐん空に向かって伸び行く才能に触れると、疲れが吹き飛び、エネルギーをチャージすることができる。
 今日の写真は、終演後のそれぞれの表情。この共演、各地ともに完売だ。また、スケジュールが合ったら、ぜひ共演してほしい。アンコールももっと聴きたいし(笑)。



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