Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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千住真理子×仲道郁代
 長年、ソロを聴き続けてきたアーティストの室内楽を聴くと、新たな発見がいくつもある。
 昨日はヤマハホールに、千住真理子と仲道郁代のデュオを聴きにいった。ブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲コンサートである。
 前半にヴァイオリン・ソナタ第1番、第2番が演奏され、後半に「F.A.E.のソナタ」より第3楽章スケルツォ、ヴァイオリン・ソナタ第3番が組まれていた。
 千住真理子には、以前、愛器のストラディヴァリウス「デュランティ(1716年製)」に関して話を聞いたことがある。
 彼女は、この楽器を2002年に手に入れることになった。その経緯と、楽器のこれまでの所有者の話、さらに楽器への深い思いなどを聞き、ヴァイオリンのミステリアスな運命に感銘を受けた覚えがある。
「私はデュランティに巡り会い、自分の音楽を一から立て直そうと思ったのです」
 こう語ったことばは忘れられない。
 デュランティとパートナーを組んで14年目。その低音の美しさと深々とした響きは、ブラームスのソナタにとても合っていた。
 彼女の演奏は、あたかも声楽家のように、後半にいくにしたがって音が徐々にのびやかに自由闊達に鳴り響くようになり、まさにデュランティは生き物だと感じた。
 仲道郁代は、後半の演奏が始まる前のふたりのトークで、こう語っている。
「私たち、20代のころにこれらの作品を演奏しなくてよかったわね。長年、さまざまな経験を積んできたからこそ、いまブラームスのヴァイオリン・ソナタに向き合える。それだけすばらしい作品だから」
 これに応え、千住真理子もいう。
「昔、先生にブラームスのソナタはロールスロイスを40キロで走らせるように演奏しなさいといわれたんだけど、当時はその意味がわからなかったの。いまはそのことばをかみしめながら、1音1音に思いを込めて演奏しています」
 この「ロールスロイスを40キロで走らせる」というのは、どういう意味なのか。おそらく、人によって、さまざまな解釈ができるのではないだろうか。
 仲道郁代の演奏は、近年より自由に、より開放的に、より自然体になってきたように思う。彼女の演奏は、デビュー前のコンクール時から聴き続けているが、このブラームスも馥郁たる歌に彩られ、熟成した白ワインを思わせた。
 このコンサートレビューは、ヤマハのWEB「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」に書く予定にしている。
 今日の写真は、終演後のふたり。彼女たちは、チェロの長谷川陽子を加えたトリオでは共演したことがあるが、デュオは今回初めてだったそうだ。


  
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