Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ミシェル・ベロフ
 ミシェル・ベロフのピアノでフランス作品を聴く。こんな心躍るリサイタルが、今夜すみだトリフォニーホールで行われた。
 フォーレのノクターン第1番、第6番から始まり、ラヴェルの「水の戯れ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」と続き、ドビュッシーの「2つのアラベスク」「子供の領分」へと進む。これが前半のプログラム。
 透明感のあるクリアな美音がホールの隅々まで浸透していき、円熟の域に達したベロフのピアニズムが心に響いてくる。 
 ベロフは1950年5月9日、フランスのエピナルに生まれた。10代前半で才能を開花させ、1961年にはオリビエ・メシアンとの運命的な出会いをする。このときベロフは、メシアンの前で「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」から数曲を暗譜で演奏し、この偉大なる作曲家を驚嘆させたという。
 今日は、その「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」から第19番「われは眠る、されど心は目覚め」と第20番「愛の教会の眼差し」が最後に演奏された。
 これぞ、ベロフの真骨頂である。後半のプログラムはその前に、フランクの「前奏曲、コラールとフーガ」が演奏され、この作品ではピアノをあたかもオルガンのように響かせ、ペダルも非常にこまやかに踏み込んでいた。
 ベロフは1967年に第1回オリビエ・メシアン国際コンクールで優勝している。当時17歳のベロフには、確かな道が拓かれていた。次々と録音も発表し、ワールド・ツアーも行うようになった。ところが、1980年代に入って、突如不幸が訪れた。右手の故障である。
 長年ピアノを弾くことができず、苦難の日々を過ごしたが、完全復活を遂げたのは1990年代初頭。フランスの作品や現代作品を得意としたベロフは、持ち前の美音を武器に鋭敏な感性を遺憾なく発揮して古典派の作品など新しいレパートリーを開拓、ベロフ・ファンを驚かせた。
 現在は世界各地で演奏活動を行うとともに、パリ音楽院で後進の指導にもあたり、チョ・ソンジンを指導していることでも知られる。
 今日のベロフは自信にあふれ、恰幅がよくなったためか、堂々としていた。
 ピアノを弾けなかった時期にジュネーヴで会ったことがあるが、そのときの暗い表情はいまだ忘れることができない。
 本当に復活してよかったと思う。今日のフランス作品は、まさに水を得た魚のような自由闊達な演奏。アンコールのドビュッシー「スケッチブック」より、前奏曲集第1集より「沈める寺」も、凛とした美音が全編を支配し、ホールを静謐な空気に包み込んだ。
 今日の写真は、終演後のサイン会でCDにサインするベロフ。ねっ、体格よくなったでしょ(笑)。

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