Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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テディ・パパヴラミ&萩原麻未
 今日は、テディ・パパヴラミ&萩原麻未の特別チャリティーコンサートを聴きに、Hakuju Hallに出かけた。
 プログラムは、先日パパヴラミの本の出版記念会で聴いたJ.S.バッハの「シャコンヌ」からスタート。この作品は弦1本で勝負する孤高の音楽である。
 パパヴラミのバッハは、魂の叫びのようだ。彼の生きざまが映し出され、ひとつひとつの音が胸に突き刺さってくる思いがする。
 次いで萩原麻未とのデュオでドビュッシーの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」、ラヴェルの「ツィガーヌ」が演奏された。
 萩原麻未は、以前インタビューで室内楽がもっとも好きだと語っていたが、ヴァイオリンとのアンサンブルは、まさに堂に入ったもの。パパヴラミの渋く深く暗い情熱を秘めた音色に、みずみずしさとエネルギーを加味していった。
 ラヴェルの「ツィガーヌ」は、ハンガリーの民俗舞曲チャールダーシュの流儀で書かれ、本来ロマの音楽である。ゆるやかなラッサンと、急速なフリスカのふたつの部分で構成されている。
 これはヴァイオリンとピアノとの音の掛け合いがとてもユニークで、いつも心が高揚する思いにとらわれる。
 ラヴェル好きの私としては、この曲がプログラムに入っているだけで、ワクワクしてくる。
 たいぶ前のことになるが、私がこの曲が好きだといったら、樫本大進との録音に臨んでいたイタマール・ゴランが、ピアノ・パートだけをガンガン弾いてくれた。アメリカ録音取材のなつかしい思い出である。
 後半は、フォーレの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番」がしっとりと演奏され、最後はサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」で華やかに終幕を迎えた。
 しかし、どんなに華麗な音色を用いた作品でも、超絶技巧を盛り込んだ作品でも、パパヴラミのヴァイオリンは慟哭するような響きを放ち、深く沈静していく。もちろんテクニックは存分に披露し、すべてにおいて緻密な音楽作りだが、その奥に静謐さが宿り、微笑みながらも嗚咽をこらえているような感覚を見せる。
 なんという個性的なヴァイオリンだろうか。
 先日紹介した彼の単行本「ひとりヴァイオリンをめぐるフーガ」(藤原書店)に表現されているように、ひとりのヴァイオリニストの稀有な人生がリアルに映し出された音楽である。
 今日の写真は、その単行本の表紙。この帯の右下には、「章末のQRコードにより、ストーリーに合わせてセレクトされた演奏が聴けます」と記されている。
 時代は変わったもんだ。
 この本の章末のQRコードから、イザイの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番第1楽章「妄執」より、パガニーニの「24のカプリース」第5番より、バルトークの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」第4楽章より、J.S.バッハの「チェンバロのための組曲」BWV822「アリア」よりなどの曲を聴くことができる。
 本から音楽が聴こえてくるようだ。
 これからの音楽に関した本は、こうした最新技術がどんどん用いられるようになるのだろうか。


 
 
 
| クラシックを愛す | 22:36 | - | -
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