Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ルノー・カピュソンの楽器
 ヴァイオリニストにインタビューすると、大切な楽器を見せてくれることがある。
 ルノー・カピュソンも、インタビュー後に2005年から使用しているグァルネリ・デル・ジェス「パネット」を拝ませて(?)くれた。
 グァルネリ・デル・ジェスはイタリア・クレモナの弦楽器製作者一族のひとり、バルトロメオ・ジュゼッペ・アントーニオ・グァルネリ(1698年8月21日〜1744年10月7日)の製作した名器で、イエスのグァルネリを意味するデル・ジェスと名付けられている。
 音は深々と情熱的で、さらに男性的で野性的な響きを備え、アントニオ・ストラディバリの楽器と並び称される。
 ルノー・カピュソンがこの楽器に出会ったときのことは、インタビュー・コンテンツ「音楽を語ろうよ」に綴ったが、まさに近くで見る名器は生命を帯びた生き物ようで、何世紀も生き続け、さまざまなヴァイオリニストの手に渡り、人々を感動させる音楽を奏でてきたその歴史と伝統を秘め、ミステリアスな輝きを放っていた。
 カピュソンは、「すばらしい楽器でしょう。ぼくはこのヴァイオリンに出会ってから、自分の音楽が大きな変貌を遂げたと思っているんですよ。楽器が教えてくれることが多く、最初はなかなか楽器に見合う音を自分が出すことができなかったけど、ようやく最近になって楽器がすごく鳴るようになってきたんです。もっともっとデル・ジェスと仲良くなって、秘められた部分を探求し、よりよい音を出せるようにしたいと思っています」
 カピュソンは、こういって楽器をじっくりと見せてくれ、「みんな表ばかり見るけど、裏側も美しいんですよ。ほら、裏も見て」といって、楽器をくるりと回し、裏側も見せてくれた。
 本当に美しい。これぞイエスのグァルネリである。
 私はカピュソンのえもいわれぬ官能的な音色に魅了されているが、その魅惑的な響きは、この貴重な楽器から生まれるわけだ。
 以前、「レッド・ヴァイオリン」という映画があり、数奇な運命をたどるヴァイオリンの話で、その映画のプログラムの解説文を書いたことがある。
 このときも、ヴァイオリンという楽器の神秘的で幻想的なストーリーに心が動かされたものである。
 今日の写真は、デル・ジェスの表と裏。先日、諏訪内晶子のインタビューでも楽器の話に花が咲いたが、やはりヴァイオリニストにとっては、自分にピタリと合う楽器に巡り会えるか否かで、音楽性が大きく変化するようだ。



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